パワコンの総合力を見せたオムロン、エネルギー新時代におけるエネルギー効率の最適化を目指す

オムロンは「スマートエネルギー Week 2014」でパワーコンディショナの総合力を見せた。従来の住宅向け、低圧向けに加え、高圧向けにも一歩を踏み出す。さらにパワーコンディショナの進化によって、きたるべきエネルギーミックス時代に対応するマルチエネルギー変換制御技術を深める。制御技術を生かしたエネルギーピークの抑制やエネルギー需要の自動抑制と組み合わせることで、社会全体のエネルギー需給バランスの最適化に貢献することが大目的だ。

» 2014年03月07日 10時00分 公開
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 太陽光発電システムに欠かせないパワーコンディショナ。「スマートエネルギー Week 2014」(2014年2月26日〜28日、東京ビッグサイト)で、オムロンは製品・技術の総合力を見せ、2014年度以降に展開する内容を示した。

パワーコンディショナの総合力を見せる

 同社のパワーコンデョナは国内住宅市場でトップシェアにある。今回、新商品の投入によりラインアップを強化し、顧客のニーズにより応えられるようにした。スマートエネルギー Week 2014では、製品を住宅、低圧、高圧と利用シーンに合わせて展示した(図1)。

図1 用途ごとにパワーコンディショナのラインアップを展示

 住宅・低圧向けはこれまでの屋内設置型、屋外設置型の2シリーズに、新しく屋外設置型のマルチストリング対応製品「KP-Rシリーズ」を加え、3シリーズとした。日本の家屋に多い寄棟屋根などに太陽電池モジュールを設置する際、屋根ごとに置くモジュール枚数が異なることは多い。KP-Rシリーズを用いると、モジュールを回路ごとに入力設定でき、システム設計がしやすくなる。

 従来機種の単相屋外型パワーコンディショナ「KP-Mシリーズ」は2014年4月にバージョンアップを予定しており、売電量損失を低減可能な電圧上昇抑制制御機能を追加する。また、低圧向け製品ながら、50kW以上の高圧連系で必要とされる停電後の手動復帰機能にも新たに対応する。さらには2017年に新規格化されるFRT制御機能にもいち早く対応する。単相屋内型の「KP-K2シリーズ」もKP-M同様、バージョンアップを予定している。

 これらいずれの製品にもオムロンが業界で初めて確立した多数台連系時の単独運転防止技術「AICOT(R)」を搭載する。

 また、パワーコンディショナのラインアップに加えて、全量買取向け電力表示ユニット「KP-CM2F」も展示した。主に低圧向けの全量買取に対応し、パワーコンディショナを12台まで接続できる。

 高圧向けは、今回新たにオムロンが取り組む領域だ。主にミドルソーラーに用いられる三相パワーコンディショナを参考出品した。特徴は小型で高効率なこと。重量が約50kgと小型、軽量であり、設置しやすい。

 さらに、海外向け製品の三相10kWタイプも参考出品した。ZCC回路を用いることで、トランスがなくてもPIDの発生を防ぐことができ、発電量の低下防止をサポートするのが特徴だ。

 高圧向けのコーナーでは、太陽光発電の地絡事故に備える地絡保護用のユニットOVGR(参考出品)と、太陽光発電システムの長期安定稼働をサポートする太陽光発電見守りサービス「ソラモニ」を紹介した。

次世代進化軸を示す

 さらに、オムロンはこれからのパワーコンディショナの姿も示した。「次世代型ALL SiCパワコン」と「ハイブリッドパワーコンディショナ(PV+蓄電)」の2製品だ。いずれも参考出品である。

 これまでSiC(シリコンカーバイト)をはじめとした新素子を利用したパワーコンディショナは、研究開発が進められているが、製品レベルまで完成しているものは珍しい。オムロンのALL SiCパワコンは製品化時に求められる熱・ノイズ試験やJET認証相当の社内試験を終えており、実製品に近い形まで開発を終えた業界初のものだ。2015年度中の販売を目指す。

 ALL SiCパワコンは機器内部の昇圧回路とインバータ回路のダイオード部に加え、インバータ回路のスイッチング部にもSiCを採用している。SiCは従来のシリコン半導体よりも特性がよく、小型化、高効率化を狙ったパワーコンディショナを開発できる。

 体積、電力損失とも1/2にできることが特徴だ。このため、展示では、従来品(KP55M)と同サイズで容量が約2倍になることや、従来品と同サイズの場合、電力損失が2分の1になり、変換効率が97.3%と高いことを訴求した(図2)。開発品の出力は5.5kWと9.9kWだ。

図2 ALL SiCパワコン

 そして、もう一方のハイブリッドパワーコンディショナは、太陽光発電と蓄電を結び付け、電力系統との連系を可能にする。さまざまなエネルギーニーズに応えることを目的としている。

 オムロンがこのハイブリッドパワーコンディショナを開発した理由は、固定価格買取制度(FIT)が次第に収束し、発電した電力の自産自消(自家消費)が広がる将来を考えたためだ。自産自消のためには発電した電力をいったん蓄電する必要がある。

 展示では容量5.9kWのハイブリッドパワーコンディショナを紹介した(図3)。1台で太陽光発電システムにも蓄電池にも対応しており、蓄電池を選ばないマルチベンダー対応としている。このハイブリッドパワーコンディショナと併せて容量5kWhの家庭用蓄電池も展示した。

図3 ハイブリッドパワーコンディショナ

さらに将来へ

 オムロンは今後、ハイブリッドパワーコンディショナのように「マルチ」な変換制御へと進んでいく。同社の環境技術はエネルギーの変換技術と制御技術をベースとしており、エネルギー効率の最大化を目指すために、エネルギー需要制御技術やエネルギーピーク制御技術と結び付けながら、さまざまなエネルギーの問題を解決できることをうたった(図4)。

 近い将来、余剰電力によるネガワット取引やデマンドレスポンスサービスなどを通じて、エネルギー需給バランスのさらなる最適化を必要とされる「エネルギー新時代」に到達すると思われる。

 電力自由化と再生可能エネルギーの一層の普及に備え、オムロンはエネルギー変換技術と制御技術を活用した製品やサービスでエネルギー効率を革新するベストパートナーを目指していく。

図4 オムロンがもつ3つの技術がエネルギー新時代を支える

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提供:オムロン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:スマートジャパン 編集部/掲載内容有効期限:2014年4月6日