関西電力グループも首都圏へ、4月1日から電力小売電力供給サービス

中部電力に続いて関西電力も電力小売事業で首都圏に進出する。100%子会社の「関電エネルギーソリューション」が新電力として企業や自治体向けの電力供給サービスを4月1日に開始する計画だ。2016年の小売全面自由化を前に、地域を越えた電力会社同士の競争も激しくなってきた。

» 2014年03月19日 15時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 「関電エネルギーソリューション(略称Kenes)」は2013年9月に新電力(特定規模電気事業者)に届出を済ませて、首都圏に進出する準備を進めてきた。発電事業者からの買取や日本卸電力取引所を通じた調達によって、当面の供給力を確保できる見通しがつき、4月1日から首都圏で小売事業を開始する。

 すでに中部電力が2013年10月に新電力のダイヤモンドパワーを買収して首都圏の小売事業に進出している。国内の電力販売量の3分の1を占める東京電力の顧客をめぐって、第2位と第3位の電力会社が相次いで攻勢をかけ始めた。既存の新電力を加えて価格競争が加速することは確実だ。

 関電エネルギーソリューションは関西電力が2001年に設立した100%子会社で、当初はガスの小売とコージェネレーションシステムの販売を専門にしていた。その後に太陽光発電事業に乗り出す一方、グループ内で風力発電や熱供給事業を担当していた「関電エネルギー開発」と2014年2月に合併して、電力とガスを合わせたエネルギー供給体制を強化している(図1)。

図1 発電・小売事業の展開イメージ。出典:関電エネルギーソリューション

 新たに首都圏で電力供給サービスを開始するにあたって、東京電力よりも電気料金を安く提供できることを訴えていく。すでにウェブサイト上では契約内容をもとにした見積もりの受付を開始した。当面は1年契約を基本にして、小売が自由化されている特別高圧と高圧の利用者を対象に電力を販売する。

 このところ電力会社は新電力に顧客を奪われるケースが増えている。地域内の電力事業だけでは売上が減り続けるため、グループ会社を通じて地域外の顧客を獲得することに活路を求め始めた。いよいよ電力会社も市場の自由化に向けて舵を切らざるを得ない状況になってきた。

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