北海道の工業地帯に巨大メガソーラー、6600世帯分の電力を供給開始スマートシティ

広大な工業用地が数多く残る北海道で新しいメガソーラーが運転を開始した。南部の苫小牧港に面して隣接する2社の遊休地を合わせて、37万平方メートルの敷地に23MW(メガワット)の発電設備を建設したものだ。三井不動産が20年間にわたって土地を賃借して発電事業を運営する。

» 2014年04月04日 09時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 北海道南部の太平洋岸にある苫小牧港は札幌にも近く、「北海道の海の玄関」に位置づけられている(図1)。港の周辺は自動車や石油精製などの工場が立ち並ぶ一大工業地帯を形成しているが、産業構造の変化に伴って遊休地が目立ち始めた。土地が平坦で日照条件も良いことから、メガソーラーを建設する動きが活発になっている。

図1 「三井不動産苫小牧太陽光発電所」の所在地。出典:三井不動産

 4月1日に運転を開始した「三井不動産苫小牧太陽光発電所」は2社の遊休地を組み合わせて建設した。素材メーカーの電気化学工業と日本ゼオンが所有するほぼ同じ面積の土地で、合わせて37万平方メートルの広さがある。三井不動産が20年間にわたって2社から土地を賃借して、23MW(メガワット)の太陽光発電設備を運営する(図2)。

図2 太陽光発電設備の全景。出典:三井不動産

 年間の発電量は2400万kWhを見込んでいて、一般家庭で6600世帯分の使用量に相当する。発電効率を表す設備利用率は約12%で、全国平均と同等を想定している。北海道南部の太平洋側は日射量が多いことに加えて、気温が低いために太陽光パネルの発電効率が落ちにくいという利点がある。三井不動産は固定価格買取制度を通じて北海道電力に売電して、年間に約8億6000万円の収入を得る見通しだ。

 三井不動産は2013年から全国各地の工業地帯にある製造業の遊休地を利用して、大規模なメガソーラーによる発電事業を展開している。すでに大分県と山口県で合計30MWのメガソーラーを稼働させたほか(図3)、青森県と福岡県でも合計14MWが2014年度中に運転を開始する。苫小牧を加えた5カ所で68MWの発電規模になり、年間の発電量は2万世帯分に達する見込みだ。年間の売電収入は25億円を超える。

図3 「大分太陽光発電所」(左)と「山陽小野田太陽光発電所 」(右)。出典:三井不動産

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