値上げ率を3.77%に抑制、中部電力が5月から新料金電力供給サービス

東日本大震災の後から始まった電気料金の値上げラッシュの中で、7社目になる中部電力の実施日が5月1日で確定した。値上げ率は家庭向けが平均で3.77%、企業向けは7.21%になる。すでに値上げを実施した6社と比べれば小幅に抑えるものの、自治体を中心に顧客の離脱も予想される。

» 2014年04月16日 13時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 中部電力が2013年10月に申請した電気料金の値上げに対して、経済産業省は5カ月以上に及ぶ審議をもとに引き下げを指示した。家庭向けを中心に認可が必要な規制部門の料金を申請時の4.95%から3.77%へ、合わせて企業や自治体を対象にした自由化部門の料金も8.44%から7.21%へ値上げ率を抑制する。中部電力は近日中に新しい料金体系を届け出て、認可を受ける見通しだ。値上げの実施日は2014年5月1日になる。

 火力発電の増加に伴う燃料費の負担増を理由に、電力会社は相次いで電気料金の値上げに踏み切っている。中部電力は10社のうち7社目で、まだ値上げを実施していない電力会社は北陸・中国・沖縄の3社だけになった。

 ただし中部電力の値上げ率は先行した6社と比べると大幅に抑えられている(図1)。2012年9月に先頭を切って値上げした東京電力の半分以下で、2013年9月に一斉に値上げした北海道・東北・四国の3社からは3分の1程度にとどまる。

図1 電力会社による電気料金の値上げ状況(2012〜2014年度)

 この結果、家庭向けの標準モデル料金(月間使用量300kWh)では北陸と九州に次いで3番目に低い水準を維持する見込みだ。一方で企業向けの料金は契約電力の大きさによっては全国平均を上回ることになる。

 電力会社による値上げを機に、全国各地の自治体が新電力へ契約を切り替え始めている。中部でも同様の動きが加速する可能性は大きく、中部電力の想定どおりに売上を確保できるかは疑問だ。

 中部電力は値上げを申請するにあたって、燃料費を削減するために浜岡原子力発電所の4号機(出力114万kW)を2016年1月から、同3号機(110万kW)を2017年1月から再稼働させることを前提にした。予定通りに再稼働できない場合には燃料費が増える。売上が減っていく可能性と合わせて、収益の見通しは楽観できない。

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