太陽光発電と電力融通で年間1000万円を削減、平日はオフィス、休日は商業施設へスマートシティ(2/2 ページ)

» 2014年04月28日 09時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]
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エネルギーの需給・融通状況を見える化

 柏の葉スマートシティでは、ゲートスクエアの中に設置する「スマートセンター」で地域全体のエネルギーをコントロールする。スマートセンターのAEMSがBEMSのほかにHEMS(住宅エネルギー管理システム)とも連携して、太陽光発電や非常用発電機、蓄電池や電力融通装置を制御する仕組みである(図4)。

図4 エネルギー管理システムの構成。出典:三井不動産ほか

 AEMSとHEMSは5月中旬から段階的に運用を開始する予定だ。スマートセンターの管理者はAEMSの画面を通して、地域全体のエネルギーの状況を施設単位で監視することができる(図5)。さらに各施設のエネルギー需給量と電力融通量の変化をグラフで確認することも可能だ。

 地域内で電気自動車や電動バイクを共用するシェアリングシステムが稼働している。AEMSは電気自動車の蓄電量や位置情報を把握する機能も搭載して、非常時には電気自動車のバッテリーに蓄えられている電力を活用できるようにする。

図5 スマートセンターの管理者向けの画面(画像をクリックすると拡大)。出典:日立製作所ほか

 住宅に設置するHEMSはゲートスクエアの中にある145戸の賃貸住宅から導入を進めていく。HEMSでは電力と水と給湯の使用量を管理する。電力の使用量は部屋単位や家電別に表示することが可能で、人工知能の機能を使って生活パターンに合わせて家電を制御することもできる。

 居住者には省エネによるCO2排出量の削減分に応じて「柏の葉ポイント」を付与して節電を促進する。このポイントは地域内の交通サービスや買い物に利用できる。災害時などに電力の需給状況が厳しくなった場合には、AEMSからHEMSへ節電要請のメッセージを送るほか、利用できる家電を選択する機能も備えている(図6)。

図6 住宅向けのHEMSの画面(画像をクリックすると拡大)。出典:シャープほか

 三井不動産はAEMSや電力融通の仕組みを日立製作所と共同で、HEMSをシャープと共同で開発した。今後さらにAEMSの適用エリアを拡大して、HEMSを既築の住宅にも展開していく予定だ。

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