電力会社10社による2013年度の販売電力量は、5社が前年から減少、4社が増加、1社は同じ水準だった。市場の規模が大きい東京と関西は0.9%の減少で、全体の販売量を引き下げる結果になった。特に東京ではオフィスに供給する業務用が2.3%も減り、企業の節電対策の進展がうかがわれる。
2013年度の販売電力量は10社の合計では前年比0.4%の微減にとどまった(図1)。減少率が最も大きかったのは北海道の1.8%で、すべての用途で販売量が軒並み減っている。北海道に続いて東京と関西が0.9%の減少率になり、関西でも家庭から工場向けまで全用途で前年を下回った。
東京では工場に供給する産業用だけが前年から0.3%増加したものの、一般のオフィスを中心に業務用が2.3%も減少した。景気が回復して工場の操業率が上がっても、節電効果で全体の販売量は減り続ける状態が定着してきた。
逆に販売量が前年を上回ったのは、中部・中国・九州・沖縄の4地域である。九州を除く3社は2013年度に電気料金を値上げしなかった。このほかで値上げを実施していない北陸の販売量は前年と同じ水準を維持している。値上げと販売量には相関があると考えて間違いなさそうだ。
値上げ組の中で1社だけ販売量が増えた九州は夏の猛暑が原因で、すべての用途で前年を上回っている。同様に沖縄も猛暑によって販売量が増加して、10社の中で最高の3.3%の伸びを記録した。
2014年度は値上げの影響と節電効果が広がって、販売量が減少する地域は2013年度よりも多くなるだろう。5月から値上げを実施する中部の販売量にも注目だ。夏と冬の気温が例年並みであれば、各地の販売量は確実に減っていく。電力会社の売上増加は天候に期待するしかない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.