土の採取跡地はメガソーラーに、富山市でカドミウム汚染農地の復元後自然エネルギー

富山県の神通川流域は日本初の公害病になった「イタイイタイ病」が発生した地域である。原因になったカドミウムに汚染された農地を復元するために、1979年から33年間かけて土壌の入れ替えを実施した。搬入する大量の土を採取した跡地にメガソーラーを建設する。

» 2014年05月15日 11時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 富山市の中心部から南へ20キロメートルほどの場所に、メガソーラーの建設予定地がある。八尾地域と呼ばれる山間部で、近くを神通川が流れている(図1)。この一帯は1910年代から「イタイイタイ病」に悩まされた地域である。隣接する岐阜県の鉱山から排出したカドミウムが原因だった。

図1 富山市の位置と地域。出典:富山市環境部

 カドミウムに汚染されてしまった農地の復元工事が始まったのは1979年で、ようやく33年後の2012年に763万平方メートルに及ぶ土地の復元工事が完了した。汚染されていない場所から土を採取して搬入する必要があり、県内の各所が採取地になった。そのうちの1つが八尾地域にある市有地で、富山市は新たにメガソーラーの用地として事業者に貸し付けることにした(図2)。

図2 メガソーラーの建設予定地。出典:富山市環境部

 林に囲まれた採取跡地の中で太陽光パネルの設置が可能な面積は2万8000平方メートルある(図3)。富山市は1平方メートルあたり年額25円で貸し付けることを条件に公募した結果、地元で建設業を営む新日本コンサルタントを事業者に選定した。メガソーラーの発電規模は1.3MW(メガワット)で、11月に運転を開始する予定だ。

図3 太陽光パネルの設置区域(緑色の部分)。出典:富山市環境部

 富山市は土地の貸し付けによって年間に70万円の収入を得る。貸付期間は固定価格買取制度の適用を受ける20年間で、貸付料を合計すると1400万円になる。このほかに富山市は配水池の建設用地を太陽光発電用に別の事業者に貸し付けることも決めている。

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