地震・雷・侵入から守る、千葉県で太陽光発電所と組み合わせた実物展示自然エネルギー

地震や雷害、侵入監視ソリューションに特化した昭電は、2014年5月、千葉県に「BCP対策モデルパーク」を開設した。ミドルソーラーとBCP対策機器を組み合わせ、太陽光発電事業者向けに設置状況の実例として公開する。

» 2014年05月22日 16時15分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]
図1 千葉県香取市とパークの位置

 「太陽光発電所向けとして、雷害対策や地震対策、侵入監視ソリューションを組み合わせて実物展示を行ったのは、当社が国内初だと考える」(昭電)。

 実物展示を公開するのは「BCP対策モデルパーク」(千葉県香取市桐谷、図1)。同社の成田工場内へ設置し、2014年5月に発表した。BCP(事業継続計画)とは、災害などが起こった場合でも重要業務(この場合は発電)が中断しないようにする対策をいう。

 昭電は雷害や地震、侵入監視ソリューションを開発、製造、販売するメーカー。メガソーラーではわずか1日発電が停止するだけでも、事業者の損失は大きい。「当社のソリューションについて、太陽光発電事業者からの引き合いが特に多くなってきたため、実際の太陽光発電所にソリューションを組み合わせた形での展示を開始した」(同社)。

図2 BCP対策モデルパークの外観 出典:昭電

 約1900m2の土地に、出力290Wの太陽電池モジュールを360枚設置し、出力104.4kW、想定年間発電量は約10万kWhのミドルソーラーを立ち上げた(図2)。ここに、各種のBCP対策機器を組み合わせている。

さまざまなBCP対策機器を設置

 太陽光発電所に設置したのは、特別な接続箱とシェルタの他、外部雷保護システム、避雷器(SPD)、シェルタ用免震装置、侵入管理ソリューションだ(図3)。

図3 BCP対策モデルパークに設置した機器の配置(クリックで拡大) 出典:昭電

 太陽光発電所では、太陽電池モジュールから接続箱、パワーコンディショナー、系統という流れで、生み出した電力を取り出している。同社のソリューションは接続箱やパワーコンディショナー、特にパワーコンディショナーを重視している。「メガソーラーでは金属製のキュービクルにパワーコンディショナーを収納する。これが地震で壊れれば、物損はもちろん、事業損失にもつながる。侵入監視ソリューションは敷地全体に対して効果があり、特に高価なパワーコンディショナーなどの重要拠点に必要だ」(同社)。

 接続箱では燃損事故に備える。接続箱内部が劣化し、短絡(ショート)してしまった場合に遮断する装置を展示した。1000V対応品や1000Aを遮断する製品がある。

 パワーコンディショナーのような重要な装置を守る外部雷保護システムは柱(ロッド)の上部に半球上の受雷部を設けたもの。60万Vの電圧に耐え、直撃した雷の電流を地面に逃がす。この他、落雷時の過電流、過電圧からパワーコンディショナーや接続箱を保護する避雷器もある。

 同社がいうシェルタとはパワーコンディショナーを収納する高性能なキュービクルのこと。空調・換気により熱だまりの発生を防ぐ他、塩害、積雪など立地に応じた設計が可能。シェルタ用免震装置と組み合わせることで、直下型地震動の他、長周期地震動にも耐えられるという。

 侵入監視ソリューションには、トラップ式フェンスセンサーや監視カメラ、赤外線センサー、パトライトなどがあり、連動して動作することが特徴。

【更新情報】 記事公開後に、図3を追加いたしました(2014年5月22日)。

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