小さな植物工場にもニーズあり、温泉熱や地下水熱を利用自然エネルギー(2/2 ページ)

» 2014年05月27日 16時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]
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自然エネルギーを利用

 2番目の特徴は植物工場に自然エネルギーを利用していることだ。植物工場は青森県内でも有数の浅虫温泉に位置しており、温泉熱を入手しやすい。「石木医院は植物工場導入以前から、冬季に温泉熱、夏季に地下水熱を利用しており、環境配慮型病院を目指している。今回は植物工場内部に温泉熱と地下水熱を利用する空調装置を新設し、蓄熱槽は従来の設備を用いた。特に夜間の冷え込みから植物を守るために温泉熱が役立つと考えている」(同社)。ただし、夏季には蓄熱槽の容量から冷房能力が十分かどうか、検証の必要があるとした。

 モニタリング機能が今回の植物工場の3番目の特徴だ。小さな植物工場とはいえ、人が直接24時間監視をするのは現実的ではない。そこで、栽培環境の見える化を試みた。温度と湿度、二酸化炭素(CO2)濃度の他、Webカメラ(図2の中央上部)による目視も可能だ。

なぜ小型の植物工場に集中するのか

 NTTファシリティーズは大型の植物工場ではなく、小型の植物工場に主に取り組んでいる。なぜだろうか。

 「大型の植物工場で一番大切なのは出口戦略だ。栽培した作物を安定的に流通に載せることができなければ成り立たない。小型の植物工場では出口戦略は不要だ。さらに流通に載せるためには取り除かなければならない野菜、例えば色や形が不適切なものも利用できる。顧客側にも『市場価格並みで構わないから自分たちで栽培したい』という小型植物工場に対する十分なニーズがある」(同社)。

 同社の強みは価格*3)と提案・助言の2つだという。「植物工場を導入する際には、設備そのものよりも設備をどのように生かしたら良いのかという質問が顧客から寄せられる。今回の事例では栽培する作物の種類について問い合わせがあった。レストランに供給するのならどのようなリーフ系でも構わないが、給食に使う場合は火を通さないといけないという規則があるため、ゆでることができる野菜が必要になる。そこで、コマツナとミズナを提案した。グリーンリーフ、サンチュ(レタス)と併せて栽培中だ」(同社)。

*3) 1ユニット(棚とCCFL照明のみ)の価格は350万円。モニタリング設備(20万円)、自動追肥装置(80万円)などと組み合わせて導入できる。

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