3つの役割を持つ太陽光発電所、福島の建材工場に6MW自然エネルギー

住宅設備大手のLIXILは、福島県に立地するLIXIL須賀川工場の敷地内に出力6.35MWの太陽光発電所を完成、2014年5月から運転を開始した。工場の敷地内にありながら、売電の他、教育とショールームの役割を担う。

» 2014年05月29日 15時15分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]
図1 福島県須賀川市と発電所の位置

 住宅設備大手のLIXILは2014年5月、福島県に立地するLIXIL須賀川工場(須賀川市前田川扇町)の遊休地を利用した太陽光発電所「LIXIL須賀川SOLAR POWER」の本格運転を開始したと発表した。2013年1月に経済産業省の設備認定を受け、2013年7月に着工した発電所だ。

 同社は太陽光発電システムの設置に向いた主要工場に導入を続けており、既に2011年2月にはLIXIL有明工場(熊本県長洲町、3.75MW)とLIXIL岩井工場(茨城県坂東市、3.75MW)に設置を終えている。「当社の国内44拠点のうち、太陽光発電所の建設にふさわしい条件の場所をさらに選定中だ」(同社)。

3つの目的を持った発電所

 同社は2011年にトステム、INAX、新日軽、サンウエーブ、TOEX(旧 東洋エクステリア)が統合して設立された企業。1989年に完成した須賀川工場ではリビング建材(木質系内装建材)を生産している。

 工場の敷地面積は33万5730m2あり、これは東京ドーム7つ分だ。そのうち工場建屋面積は8万1486m2。今回は遊休地となっていた約9万8000m2を利用し、サンテックが製造した多結晶シリコン太陽電池モジュールを2万1912枚敷き詰めて、出力6.35MWを得た(図2)。パワーコンディショナー(500kW)の台数は11。設計・調達・建設(EPC)は、NTTファシリティーズが請け負った。

図2 LIXIL須賀川工場とLIXIL須賀川SOLAR POWERの外観。福島空港から北西に5kmという立地である 出典:LIXIL

 年間想定発電量は約7800MWhであり、これは須賀川市の世帯数の約5%に相当する。二酸化炭素(CO2)削減量に換算すると年間約4200トン。「LIXIL有明工場とLIXIL岩井工場に導入した太陽光発電システムは、東日本大震災以前に設置したこともあり、売電目的ではなくゼロエネルギー工場を目指す取り組みとして進めた。今回は、固定価格買取制度(FIT)を用いて全量を東北電力に売電する」(同社)。買取価格は40円(税別)。

 LIXIL須賀川SOLAR POWERには、売電以外に2つの目的があるという。「売電に特化した発電所ではなく、見学棟や展望デッキも用意しており、クリーンエネルギーの学習の場として利用して欲しい」(同社)。

図3 採用した架台 出典:LIXIL

 もう1つの目的は自社製品のショールームだ。「同発電所では当社のアルミニウム架台「ソーラーベースプロ<メガタイプ>」(図3)を483アレイ分用いている。架台設置事例として規模が大きく、ショールームを兼ねた発電所だ」(同社)。なお、アルミニウム架台はスチール架台と比較して、重量が約3分の1と軽く、大量に設置した場合、設置費用が少なくて済む。加えて耐食性が強く、20年間の運用に適しているという。

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