福島沖で実証中の浮体式による洋上風力発電プロジェクトで、第2期に運転する超大型の建造作業が最終段階に入った。2基の発電設備のうち1基の浮体部分が完成して、製造中の風車と合わせて12月から組立・設置作業を始める。洋上で発電を開始するのは2015年の初めになる見通しだ。
2015年度までの5カ年計画で進めている「福島復興・浮体式ウィンドファーム実証研究事業」では、後半の第2期で7MW(メガワット)の洋上風力発電設備を2種類の浮体構造で建設する計画である。その1基目になるV字型の浮体部分が長崎県の造船所で完成した(図1)。
さらに浮体部分に搭載する直径167メートルの風車を製造中で、完成後に福島県の小名浜港まで運んで12月上旬から組立作業に入る。第1期の発電・変電設備がある沖合まで曳航して、設置作業が完了するのは2015年1月以降になる見通しだ。現地で調整作業を終えてから運転を開始する。
一方で発電設備を洋上に係留するためのアンカー・チェーンの設置作業が6月上旬から現地で始まっている。係留用のアンカー・チェーンは海底にアンカーを置いてチェーンで発電設備をつなぐもので、チェーンは直径13センチメートルの太さで造られている(図2)。超大型の発電設備の揺れを抑える役割がある。
このアンカー・チェーンの設置作業と並行して、第1期の変電設備と接続するための海底ケーブルの敷設工事を6月中旬に開始する。アンカー・チェーンと海底ケーブルの工事は8月下旬に完了する予定で、12月から始まる発電設備の組立・設置を待つ状態になる。
プロジェクトの前半にあたる第1期では、2MWの発電設備と変電設備を洋上に建設して、2013年11月に運転を開始した(図3)。第2期で設置する7MWの発電設備は1基を三菱重工業が担当して、もう1基をジャパン マリンユナイテッドが別の浮体構造で建造する。2基目の進捗状況は現時点で発表されていないが、2015年度の前半には運転を開始する必要がある。
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