中部電力がガス販売の子会社を新電力に、首都圏で総合エネルギーサービス開始電力供給サービス

2016年の小売全面自由化に向けて、電力会社が地域を超えた事業拡大を急いでいる。中部電力はガス販売の子会社を新電力に登録して、電力とガスを組み合わせた総合エネルギーサービスを全国展開できる体制を整えた。当面は市場規模が大きい首都圏の顧客開拓に注力する。

» 2014年06月18日 15時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 中部電力が100%出資する「シーエナジー」が6月12日に新電力(特定規模電気事業者)の届け出を済ませた。シーエナジーは中部電力グループの中でLNG(液化天然ガス)の販売事業を中核に、電力と熱を供給する総合エネルギーサービスを強みにしている(図1)。今後は首都圏を皮切りに全国各地で電力とガスの小売事業を展開していく計画だ。

図1 シーエナジーのエネルギー供給サービス。出典:シーエナジー

 すでに中部電力は首都圏を中心に電力小売事業を手がけるダイヤモンドパワー(略称DPC)を2013年8月に買収して傘下に収めている(図2)。今後はDPCが調達する電力をシーエナジーにも供給してグループの総合力を発揮する。DPCは中部電力が三菱商事や日本製紙と共同で建設する10万kW級の石炭火力発電設備からも電力を仕入れる計画で、シーエナジーとの連携によって販売先を拡大していく。

図2 ダイヤモンドパワーの事業スキーム。出典:中部電力

 シーエナジーは2001年に設立して、中部電力が2013年7月にガス会社などから株式を買い取って100%子会社にした。電力小売の全面自由化と発送電分離の実施を想定して、グループ体制を強化するための布石である。シーエナジーは2013年から太陽光発電事業にも乗り出し、三重県を中心にメガソーラーを拡大中だ(図3)。今後は東京電力の管内でも小売事業に加えて発電事業を開始する可能性がある。

図3 シーエナジーが運営するメガソーラー(三重県四日市市)。出典:シーエナジー

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