東京都の「スマートプラン2014」、下水道事業で再エネ20%以上にスマートシティ(2/2 ページ)

» 2014年06月20日 09時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]
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下水道のエネルギーで発電・節電対策も

 基本方針の第1は再生可能エネルギーの拡大だ。水処理施設の上部に太陽光パネルを設置するなど10種類の対策を実施する。その中で大きな効果が期待できる対策の1つに「エネルギー自立型の焼却炉システム」がある。

 汚泥を焼却処理する際に発生する廃熱を使って発電して、その電力を焼却炉に供給して運転を続ける仕組みだ(図4)。下水道事業ならではの再生可能エネルギーの利用方法である。2015年度までに必要な技術を開発して、2016年度から都内各地の汚泥処理施設で導入を開始する。

図4 エネルギー自立型の焼却炉システム。出典:東京都下水道局

 第2の方針は省エネルギーの推進である。水処理の工程に最新の技術を取り入れて設備を簡素化するなど、6つの分野で省エネ対策を進めていく。いずれの対策も2014年度から実行する計画だ。さらに第3の方針としてエネルギーマネジメントの強化を掲げている。4つの対策を実施する計画で、特に下水道の幹線を利用したデマンドレスポンスが目新しい。

 下水道事業では都内全域にはりめぐらされた幹線を通って各地の「水再生センター」に下水を集めて、処理した水を海や川へ放流する流れになっている。この一連の処理の過程で、昼間には汚水を幹線の中に貯めておいて、夜間にセンターへ送るようにすると、センターで処理する汚水の量を昼間から夜間にシフトすることができる(図5)。電力の需給状況が厳しくなる夏の昼間のピークシフト対策として有効だ。

図5 下水道の幹線を利用したデマンドレスポンス。出典:東京都下水道局

 このほかに第4の方針としてエネルギーの危機管理も強化する。都内83カ所のポンプ施設のうち、2024年度までに31カ所にガスタービン方式の非常用発電設備を導入する計画だ。加えて太陽光発電や蓄電池の設置を進めながら、移動電源車の台数も増やして発電設備の導入が難しい施設にも電力を供給できるようにする。

 スマートプラン2014では、2020年の夏に開催する東京オリンピック・パラリンピックまでの実施状況が重要なマイルストーンになる。計画通りに進めば、再生可能エネルギーの比率が2013年度の5%から2020年度には16%へ大幅に上昇する。

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