石油から太陽光発電へ、コスモと昭和シェルの共同事業が動き出す自然エネルギー

石油元売大手のコスモ石油と昭和シェル石油が共同で事業化する太陽光発電の第1弾の設備が運転を開始した。茨城県にあったコスモ石油の油槽所に建設したもので、続いて大分県と徳島県の油槽所の跡地でも7月中に発電を開始する予定だ。そのほかに全国5カ所で建設計画が決まっている。

» 2014年06月24日 07時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 石油業界では市場の縮小に加えて、輸送方法の進化により膨大な設備が次々に不要になっている。製油所から各地のガソリンスタンドに配送するために必要だった油槽所が典型例だ。巨大な貯蔵タンクが不要になって広大な土地が遊休地に変わり、新たに太陽光発電などの再生可能エネルギーの供給基地に生まれ変わりつつある。

 元売大手のコスモ石油と昭和シェル石油は日本政策投資銀行から出資を受けて2013年1月に「CSDソーラー合同会社」を設立した。コスモ石油の油槽所などの跡地を対象に太陽光発電事業を実施するための会社で、その第1弾になる「CSDソーラー日立太陽光発電所」が茨城県の日立市で2014年6月20日に運転を開始した(図1)。

図1 「CSDソーラー日立太陽光発電所」の全景。黒いブロック状の部分が太陽光パネル。出典:コスモ石油、昭和シェル石油、日本政策投資銀行

 敷地面積が約6700平方メートルの用地に384kWの太陽光発電設備を設置した。もともとコスモ石油の「日立油槽所」があった場所で、三角形の土地に太陽光パネルを配置している(図2)。年間の発電量の想定値は公表していないが、太陽光パネルには昭和シェル石油グループのソーラーフロンティアが製造する薄膜タイプを採用した。

図2 コスモ石油の「日立油槽所」があった当時の様子。黄色の区画に発電設備を設置。出典:コスモ石油、昭和シェル石油、日本政策投資銀行

 この発電設備はCSDソーラーが建設する8カ所の中では最も規模が小さい。続いて大分県の「大分油槽所」と徳島県の「徳島油槽所」の跡地でも7月中に太陽光発電設備が運転を開始する予定だ。大分は発電能力が573kW、徳島は1229kWで初のメガソーラーになる(図3)。

図3 油槽所などの遊休地を活用した太陽光発電計画。出典:コスモ石油、昭和シェル石油、日本政策投資銀行

 さらに全国5カ所の油槽所や石油基地の跡地にメガソーラーを建設することが決まっている。福井県の「福井油槽所」と鹿児島県の「谷山基地」で着工したほか、三重県の霞、神奈川県の扇島、愛媛県の大三島の3カ所でも7月から10月にかけて工事を開始する計画だ。8カ所を合計すると発電規模は24MW(メガワット)になる(当初の計画では26MW)。すべての発電設備にソーラーフロンティアの太陽光パネルを採用する。

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