2MWhの蓄電池を省エネと防災に、地域と一体化した東北の工場エネルギー管理(1/2 ページ)

積水ハウスは宮城県の東北工場で、「防災未来工場化計画」を開始した。発電機や大容量蓄電池を導入してエネルギーの自立を進め、省エネルギーに役立てる。平常時だけではなく、災害時に役立てることも目標だ。工場に閉じた計画ではなく、地域と連携して計画を進めていく。

» 2014年06月24日 11時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]
図1 宮城県色麻町と工場の位置(赤丸)

 積水ハウスは、主力工場に省エネと防災の機能を持たせる「防災未来工場化計画」を開始した*1)。宮城県色麻(しかま)町大原に立地する東北工場が舞台だ(図1)。2015年2月の完成を予定する。

 同計画の特徴は大きく2つある。1つは工場内に「スマートエネルギーシステム」を構築することだ。省エネルギーと防災が目的である。もう1つは計画が工場内で閉じていないこと。色麻町や他企業と連携した形を採る。

 積水ハウスは沖縄県を除く全国に展開しており、5つの工場で全国をカバーしている。北海道と東北地方を主な対象としている東北工場は、住宅の部材や外壁を製造している。製造能力は1カ月に300棟分。敷地面積は12万1458m2であり、建物だけで、6万845m2を占めている(図2)。平地に立地し、周囲には田園風景が広がっている。

*1) 同計画の設備費用の総額は4億6000万円、そのうち2億5000万円を補助金で賄う。経済産業省が委託する新エネルギー導入促進協議会が実施する「2013年度スマートエネルギーシステム導入促進事業補助金」の交付を受ける。

図2 東北工場の全景 南側などの周囲には太陽電池モジュールが並ぶ 出典:積水ハウス

常に役立つスマートエネルギーシステム

 同社のいうスマートエネルギーシステムは、平常時にも災害時にも役立つ。同システムでは発電機と蓄電池、エネルギー管理などを組み合わせて使う。

 常時動作している発電機と蓄電池を組み合わせることで、平常時には契約電力を700kW引き下げることができる。これは住宅233世帯分に相当するという。東北工場の新設備によって、地域の電力をピークカットできる形だ。新規開発するFEMS(工場EMS)によって、工場内の電力見える化が進み、従業員によるエネルギー削減が進むという。

 災害時にも発電機と蓄電池など3種類の電源が機能し続ける。得られた電力を工場内の避難所*2)と事務所棟に供給する。避難所に収容した250人に対して、7日間電力を供給できる規模だ。「(東北工場の北3.5kmに位置する)色麻町町役場が停電になったとき、工場の事務所棟が町の本部機能を果たせるようにする」(積水ハウス)。顧客以外に地域にも電力を役立てる形だ。

*2) 積水ハウスは、工場に部材や性能などを顧客に紹介する施設「住まいの夢工場」を併設している。東北工場の「東北・住まいの夢工場」は面積3180.13m2。災害時にはこの施設を避難所として使う。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.