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» 2014年06月26日 07時00分 UPDATE

スマートシティ:有機系の廃棄物からバイオガス発電、被災地の南三陸町でプロジェクト開始

東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県の南三陸町で「バイオマス産業都市構想」が進み始めた。町内で発生する生ごみなどの有機系廃棄物からバイオガスを生成して、新たに発電事業を開始する計画だ。ごみ処理施設のコストを年間に約1億円削減できる見込みである。

[石田雅也,スマートジャパン]
minami_sanriku_sj.jpg 図1 南三陸町の位置。出典:南三陸町企画課

 人口およそ1万5000人の南三陸町は太平洋に面していて、震災で大きな被害を受けた地域の1つである(図1)。復興に向けた取り組みが続く中で、2014年3月に「バイオマス産業都市」に認定された。地域の資源を生かして産業の振興と災害に強い街づくりを進める構想だ。

 2014年度から10年計画で推進するバイオマス産業都市の中核事業は2つを予定している。1つは生ごみなどを活用したバイオガス事業で、もう1つは地元の林地残材などを生かした木質ペレット事業である(図2)。このうちバイオガス事業を担当する民間企業が決まって、発電設備の建設プロジェクトが始まる。

amita1_sj.jpg 図2 「南三陸町バイオマス産業都市構想」の概要。出典:アミタホールディングス

 廃棄物の処理や資源化の事業を全国で展開するアミタグループが、南三陸町と協定を結んでバイオガス施設を建設することになった。震災前に浄化センターがあった場所に、バイオガスを燃料にして電力と熱を供給できるコージェネレーションシステムを導入する計画だ。2015年3月までに工事を完了して運転を開始する見通しである。

 アミタグループは公募を通じて建設事業者を決定することにしているため、現在のところ発電規模などは未定である。発電した電力は施設内で利用するほかに、余剰分を電気事業者に売電する。ただし固定価格買取制度の認定を受ける予定はない。

 使用する廃棄物は生ごみのほか、し尿汚泥などを合わせて、1日あたり10.5トンを想定している。廃棄物を発酵させるためのメタン発酵設備や、バイオガス貯留設備も併設する。事業費は4億200万円を見込んでいて、そのうち2分の1程度を農林水産省の「平成26年度農山漁村6次産業化対策整備事業」の補助金でまかなう予定だ。

 アミタグループは2012年度から2013年度にかけて、環境省の委託を受けて南三陸町でバイオガス施設の実証試験を実施している(図3)。その成果をふまえて本格的にバイオガス事業を展開する。南三陸町はバイオガス施設の建設用に約3000平方メートルの敷地を無償で貸与することにした。

amita3_sj.jpg 図3 アミタグループが南三陸町で実施した実証試験(画像をクリックすると拡大)。出典:アミタホールディングス

 南三陸町のバイオマス産業都市構想では、10年後の2023年度に生ごみの90%、し尿汚泥の100%をバイオマスとして再利用するほか、林地残材などの木質バイオマスも100%活用する方針だ。これにより約600世帯分のエネルギーを創出して、ごみ処理施設のコストを年間に約1億円削減する。

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