2014年に入って高騰する電気料金、原油とLNGの価格が上昇電力供給サービス

政府が今後の省エネルギー対策を検討する中で、電気料金の高騰と燃料価格の上昇が改めて注目を集めている。東京電力の家庭向け電気料金は震災前と比べて37%も高くなっていて、2014年に入ってからも増加傾向にある。発電用の燃料は原油とLNGの価格が上昇して、石炭だけが安定している。

» 2014年06月26日 11時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 4月にエネルギー基本計画が決まったことを受けて、政府は省エネルギーと新エネルギーに関する具体策の検討を再開した。省エネルギーの分野で現状を分析したところ、企業や家庭が電力使用量を削減するペースを大幅に上回って、電気料金が高騰している問題が改めて浮き彫りになった。

 政府の「省エネルギー小委員会」が6月24日に開催した会議の資料に、東京電力の家庭向け電気料金の推移が示されている。標準世帯の平均モデルで、震災前の2011年3月から直近の2014年7月までのあいだに37%も上昇した(図1)。

図1 東京電力の家庭向け電気料金の推移(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 この3年余りで東京電力の電気料金が高騰した要因は4つある。第1に再生可能エネルギーの買取制度による賦課金(サーチャージ)、第2に燃料価格の変動による調整額、第3に料金改定、第4に消費税だ。特に影響が大きいのは燃料価格で、月ごとの変動はあるものの増加傾向が続いている。

 石油(原油)、石炭(一般炭)、ガス(LNG)、それぞれの熱量あたりの価格を見ると影響度がわかる。2011年1月から2014年1月の3年間で、石油とガスの価格は2倍近い水準に上昇している(図2)。一方で石炭だけは横ばいの状態だ。

図2 熱量あたりの燃料価格の推移。出典:資源エネルギー庁、エネルギー経済研究所

 電力会社の火力発電設備で石油とガスの比率が高いほど、電気料金に上乗せする「燃料費調整額」が増える構造になっている。東京電力の場合には、2013年度の燃料使用量の比率はガスが約6割で、石油と石炭がそれぞれ2割前後である。全体の8割を占めるガスと石油の価格上昇が電気料金を押し上げている。

 それでも節電対策を実施して電力の使用量を削減すれば、電気料金の増加を抑制することは可能だ。家庭の電力使用量は震災前の2010年度と比べて2012年度には5.9%減少した(図3)。企業では工場などの産業用が23.1%も減ったが、オフィスなどの業務用は逆に4.2%増えた。節電の余地は大きく残っていて、対策を徹底すれば電気料金を抑えることができる。

図3 部門別に見た電力使用量の推移(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

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