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» 2014年07月01日 10時00分 UPDATE

Looop代表取締役社長 中村創一郎氏:固定価格買取制度が終わっても、再生可能エネルギーは続いていく

Looopは2011年の設立以降、利用者が自ら組み立てられる太陽光発電所「MY発電所キット」や太陽光パネルと蓄電池をセットにした独立型ソーラー発電セットなどを販売して、中小規模の太陽光発電所の市場を開拓してきた。創業社長の中村創一郎氏は今後、“発送電分離”と“東京五輪”を契機として第2・第3の事業領域を広げていく考えだ。

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売電価格24円でも利益が出る太陽光発電を目指す

――Looopを設立して太陽光発電分野に参入した経緯から教えていただけますか。

nakamura1.jpg 中村創一郎(なかむら・そういちろう)氏:1978年、京都府生まれ。北京語言文化大学(現北京語言大学)在学中にネットビジネスを始め、中国の製品を日本で販売。2002年、北京康茂商務諮詢服務有限公司に入社し、日系企業と中国企業との橋渡しを行うコンサルティング業務に携わる。2007年、株式会社UMCでレアメタルの調達と販売業務に携わる。2011年4月、東日本大震災被災地への太陽光発電所の設置を契機に日本での起業を決意。株式会社Looopを設立し、代表取締役社長に就任。

中村創一郎氏 東日本大震災直後の2011年4月に、電力会社からの電力供給が途絶えた被災地へ行って独立型の太陽光発電システムを設置したことがきっかけです。最初は宮城県の雄勝半島にある荒浜の高齢者施設に設置しました。

 太陽光を導入する以前は一般的な発電機を使っていたものの、夜間は騒音のため使えなかったそうです。子どもたちが「これで夜、トイレに行くのが怖くなくなる」と喜んでくれたのが印象的でした。

 その次に、今度は同じ雄勝半島の小学校へ設置しました。当時は避難所になっていたのですが、避難されていた方から「これで電子レンジも使えるようになるのか?」とか、「どういうふうに設置すればいいの?」など、質問やリクエストが殺到しました。そのとき、被災地への支援が、復興の手助けとなり、復興からビジネスが生まれると確信しましたね。

――そこで一般の人でも自分たちで発電所を設置できるような商品を作り出したわけですね。

中村氏 太陽光発電といっても、初めはパネル1枚や2枚と微々たるものでしたが、何もないところに少しずつでも置いていけば、そこに暮らす人たちはとても喜んでくれました。小さな発電所が地域の中にぽつんぽつんとあればいい。それが最初に目指した形でした。

 次に、その発電所をもう少し大きくして、電力会社の既存ネットワークにつなげ、グリッド化された電力を地産地消できるようにする。ここまでを当社の太陽光発電事業の第1段階だと考えて取り組んできました。2011年9月には、グリッド化を前提とした太陽光発電所DIYキットの試作を始めました。電気を使う場所のすぐそばに発電所を設ければ、送電ロスもなく使えますよね。コスト面でも災害対策面でもメリットがあると思いました。

――それでは現在までの取り組みが第1段階だとすると、第2段階はどのような事業を。

中村氏 次はローカルな電力小売ビジネスのサポートです。2018〜2020年あたりに電力会社の発送電分離が予定されていますよね。それを利用すれば、今よりもっと合理的なローカルの発電・送配電の仕組みができます。今は発電した電力をいったん中央に集めて、それをまた分配していますが、発送電分離が実施されれば、発電事業者や一般の家庭から同じ地域の家庭へ、B-to-CまたはC-to-Cの電力小売が可能になります。

――ほんの数年後のことですね。それまでにクリアすべき課題はありますか。

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中村氏 目下の目標は太陽光発電のコストを下げること。今は固定価格買取制度のおかげで事業が成り立っていますが、今後は買取制度がなくても利益が出るようにしなければいけません。

 具体的には、一般家庭の電気料金と同等の1kWhあたり24円で売電して、採算が合うところまでコストを下げることが目標です。現状、当社の太陽光発電設備費は、施工費なども含めて発電容量1kWあたり約24万円です。これが20万円を切れば、24円/kWhで売電して2割の利益が得られるようになります。

 2016年までにこれを実現して、発送電分離後には、買取制度がなくても太陽光発電のニーズが十分にある状態を実現したいですね。主に円安と高い施工費がコスト高止まりの原因なので、たとえば施工部門を自社内に抱えるとか、簡易的に施工できるようなモデルを作るなどの手を打っていきたいと考えています。

――そうした状況を発送電分離が実施される2018〜2020年に実現したいと。その後の構想もあるのでしょうか。

東京オリンピックを契機に水素ビジネスが拡大する

中村氏 もちろん第3段階のビジョンもあります。そのころになると、発電した余剰電力をどうするかが課題になるはずです。第2段階の取り組みが進捗すれば、電気料金は限りなくゼロに近づき、一方では発電したけれど使われない電力が出てくる。その余った電力を使って水を電気分解して、水素を生成して貯めることを推進していきます。

 水素をカートリッジに貯めて、ガソリンスタンドと同じように水素ステーションで売る、あるいはカートリッジを自宅の電源システムに取り付けて使うといった形ですね。当社は水素生成装置の設置から、生成された水素の買い取り、買い取った水素の販売までを手がけていきたい。規格化したカートリッジを作って顧客サイトから水素ステーションへ運び、空になったカートリッジをステーションから顧客へ戻す、という流通網の整備まで全部やるつもりです。

――水素関連の事業は何年くらいから始める計画ですか。

中村氏 2020年以降ですね。2020年には東京オリンピックが開催されます。オリンピックの会場周辺では、太陽光で発電した電力を水素に変えて、その水素でバスが走っているはずです。自動車メーカーが水素で走る燃料電池自動車の普及に向けて、車両の開発や水素ステーションの整備を進めていますし、国としても石油依存から脱却したいわけですから、必ず実現していますよ。その流れに乗っていきます。

 並行して太陽光発電のコストが限りなくゼロに近づいていって、革命が起きる。タイミングとしては、蓄電池として現在主流のリチウムイオン電池よりも、水素電池の蓄電効率が高くなったときですね。再生可能エネルギーの普及で余剰電力が生まれ、それを安価に水素へ変換する技術が確立されれば、燃料電池自動車が爆発的に広がり、ガソリン車に取って代わるでしょう。馬車が自動車に、機関車が電車に置き換わったような、劇的な変化が起きると思います。

 今、太陽光発電所を持っている人は、20年後に固定価格買取期間が終わっても、せっかく作った太陽光発電所を無駄にしたくないと誰もが思うはずです。その時に、電力を買い取ってもらえないなら水素にしましょう、という流れに持っていきたいですね。先ほどお話ししたような“革命”が起きれば、2033〜2035年くらいには、安全性や環境面よりも経済的合理性が理由になって、原子力や火力などの従来型エネルギーは不要になるだろうと思います。再生可能エネルギーは決して一過性のブームなどではなく、エネルギーのあり方、ひいては社会のあり方を変えていくはずです。

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提供:株式会社Looop
アイティメディア営業企画/制作:スマートジャパン 編集部/掲載内容有効期限:2014年7月31日

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