7台の電気自動車で高層ビルのエレベータを動かすエネルギー管理

大阪市の中心部にある地上26階建てのビルで電気自動車を利用した電力供給システムの実証実験が始まった。関西電力など6社が参画して実施するプロジェクトで、ビルの地下駐車場に設置した大型の充放電器から、電気自動車のほかにビル内のエレベータなどにも電力を供給する。

» 2014年07月04日 09時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 関西電力グループを中心に2013年度から3カ年計画の「OBP『V2X』プロジェクト」が進行中だ。OBPは「大阪ビジネスパーク」、V2Xは「Vehicle to X」の略で、ビジネスの拠点を利用して電気自動車(EV)による電力供給システムの実用化を目指している。2013年度に開発したシステムをビジネスパーク内の高層ビルに設置して、7月1日から実証実験を開始した。

 実験に利用する設備は、ビル内の電気機器や電気自動車を制御するエネルギー管理システムのほか、同時に5台のEVに充電と放電が可能な「EV充放電器」がある(図1)。エネルギー管理システムはビルの電力使用量とEVの位置情報・バッテリー残量などを監視しながら、充電負荷の平準化やビル内の電力需要のピークカットを実施することができる。

図1 電気自動車を利用した電力供給システムとピークカットの仕組み。出典:関西電力ほか

 さらに災害時に電力の供給が止まった場合には、EV充放電器からビルのエレベータなど重要度の高い電気機器に電力を供給できる仕組みになっている。実証実験はOBPの中にある地上26階・地下2階建ての「松下IMPビル」で実施する。このビルの地下駐車場にEV充放電器を設置した(図2)。

図2 「EV充放電器」による同時充電・同時放電の様子。出典:関西電力ほか

 電気自動車は合計7台を利用する。乗用車の「リーフ」を4台と商用車の「ミニキャブ・ミーブ」を3台である(図3)。ビルに導入したエネルギー管理システムはEVに充放電するタイミングを指令する機能に加えて、充放電の予約管理や時間帯別の課金もできる。充電と放電の料金を変動させることによって、充電負荷の平準化やピークカットの有効性を検証する予定だ。

図3 実証実験で使用する日産自動車の「リーフ」(左)と三菱自動車の「ミニキャブ・ミーブ」(右)。出典:関西電力ほか

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