夏の電力不足を回避するデマンドレスポンス、関西と九州でイオンが開始エネルギー管理

8月に電力の予備率が3%まで下がる予想の関西と九州の2地域で、電力不足を回避するための施策が相次いで始まった。イオングループは電力会社からの要請に合わせたデマンドレスポンスサービスを両地域で開始したほか、関西ではクーポンを利用した外出促進プログラムにも参画する。

» 2014年07月14日 15時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 台風が来襲した7月8日、九州では電力の需給率が94%を突破して、早くも今夏の厳しい状況をうかがわせた。関西とともに8月には予備率(需要に対する供給力の余裕)が3%まで低下する予測が出ていて、地域全体で需要を抑制する対策が急がれている。

 イオングループで省エネ事業を展開するイオンディライトは関西電力・九州電力の両社と共同で、顧客企業を対象にデマンドレスポンスサービスを開始した。電力会社が指定した時間帯に、顧客企業のBEMS(ビル向けエネルギー管理システム)を通じて、電力の使用量を自動で制御するサービスだ。抑制した電力量に応じて顧客企業には協力金を支払う(図1)。

図1 デマンドレスポンスサービスの仕組み。出典:イオンディライト

 デマンドレスポンスの対象は関西電力か九州電力から高圧(契約電力50kW以上)の電力供給を受けている場合に限る。実施期間は7月から9月の3カ月間で、実施日と時間帯は各電力会社が需給状況をもとに決定することになっている。

 これと並行して関西電力が家庭向けの節電プロジェクトを7月22日に始める。イオングループで大型店舗を運営するイオンリテールのほか、家電量販店のエディオンと上新電機を加えた3社が協力して実施する取り組みになる。9月30日までの期間中に、電力の需給状況が厳しくなると予想される前日の夕方か当日の朝に割引クーポンを配布する予定だ(図2)。

図2 「みる電 出かけて COOL プロジェクト」の概要。出典:関西電力

 関西電力が低圧(契約電力50kW未満)の顧客向けに提供している電気使用量の照会サービス「はぴeみる電」の会員が対象になる。クーポンを利用できる店舗は大阪・京都・兵庫・奈良・滋賀・和歌山・三重の7府県にある約300店舗である。7つの府県の会員数は約80万にのぼる。期間中の需給状況が安定している場合でも、7月下旬に1回、8月に3回、9月上旬に1回程度はクーポンを配信して効果を検証する。

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