「窒化ガリウム」で高性能、それでも安価な家庭用パワコン蓄電・発電機器(2/2 ページ)

» 2014年08月06日 07時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]
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屋内に設置することを考えた特徴あり

 高性能な製品を普及価格帯で提供することが安川電機のGaNパワーコンディショナーの特徴だ。さらに、家庭向けに屋内設置することを考えた味付けも施した。小型化と低騒音だ(図3)。

 同社は、GaNパワー半導体を採用することで、筐体の設置面積を従来モデル比で2分の1に小型化した。筐体の寸法は幅380mm、奥行き140mm、高さ225mmである。これは三菱電機のSiCモデルの体積の72%*4)。機器の体積を小さくできるというGaNパワー半導体の強みをそのまま製品に生かした形だ。

 加えてパワーコンディショナーから発生する音を減らした。一部のシリコン採用品からわずかに聞こえる「キーン」というモスキート音が発生しないという*5)。これもGaNパワー半導体の強みを生かした改良といえる。

*4) SiCやGaNなどをシリコンの代わりに使う理由は複数ある。1つが電力損失を小さくできること(変換効率が高いこと)、もう1つが機器の寸法を小さく設計できることだ。小さく設計できる理由も複数ある。1つは排熱が減るため、冷却装置を小型化できることだ。もう1つはスイッチング周波数を高めることができるため、周辺の電子部品も小型化できることだ。
*5) パワーコンディショナー内部では、太陽電池モジュールから送られてくる直流を交流に変換する際、内部のスイッチを高速に切り替えている。これをスイッチング動作と呼ぶ。このとき、1秒当たりのスイッチ回数(スイッチング周波数)が人の可聴域(20Hz〜2万Hz)にかかると、モスキート音が聞こえてしまう。GaNパワー半導体はシリコンパワー半導体と比較してスイッチング周波数を高めやすく、高めたとしても性能が落ちないため、モスキート音を比較的容易になくすことができる。「シリコン採用品と比較して、スイッチング周波数を2倍に高めた」(安川電機)。

図3 GaN採用パワーコンディショナーの主な特徴
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