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» 2014年08月13日 09時00分 UPDATE

自然エネルギー:発電所の実力を決めるEPCとO&M、福島の12MW太陽光

三菱商事が福島県いわき市で進める「小名浜太陽光プロジェクト」の第1期工事(12.2MW)が2014年8月に完成した。設計・調達・建設(EPC)と管理・運営(O&M)を担当した三菱電機は、現場における施工時間を短縮しながら、長期的な信頼性を高めるさまざまな工夫を凝らしている。

[畑陽一郎,スマートジャパン]
yh20140808diamond_map_250px.jpg 図1 福島県いわき市と発電所の位置

 三菱電機は2014年8月、現場における施工時間を短縮しながら、長期的な信頼性を高めた太陽光発電所が完成したと発表。三菱商事が福島県いわき市に計画する「小名浜太陽光プロジェクト」の第1期に相当する出力12.2MWの「小名浜ソーラー発電所」である(図1、図2)。

 三菱商事の計画は、日本化成の小名浜工場敷地(約15万m2)に今回の発電所を建設後、隣接する小名浜石油の敷地内(約9万m2)に6.18MWの「小名浜・泉ソーラー発電所」を2015年3月までに完成させるというもの*1)。どちらも固定価格買取制度(FIT)を利用して20年間東北電力に全量を売電する。

*1) どちらの設備も三菱商事が保有する。小名浜ソーラー発電所の事業主は特定目的会社(SPC)の小名浜ソーラー、小名浜・泉ソーラー発電所の事業主はSPCの小名浜・泉ソーラーである。

yh20140813diamond_ms_590px.jpg 図2 小名浜ソーラー発電所の外観。小名浜港を望む立地だ。 出典:三菱電機

基礎からモジュール施工まで工夫

 「今回の発電所と(第2期に相当する)6.2MWの発電所のどちらも当社が受注し、設計・調達・建設(EPC)から管理・運営(O&M)まで、三菱グループを挙げて進める形だ」(三菱電機)。三菱電機が担当した今回のEPCでは、基礎と架台、太陽電池モジュールの3つに特徴がある。

 基礎では施工品質を均一化し、天候不良による工事の遅延リスクを避けることを考えた。工場で成型したコンクリート基礎をそのまま採用することで実現した。

 架台では太陽電池モジュールを留める「ボルト」を工夫した。アルミニウム合金製のロックボルトを採用したことで、2つの目的を達成したのだという。現地は太平洋に面した工業地帯であるため、塩害の可能性が高い。強度では鉄やステンレスに劣らず、耐食性・耐久性の高いアルミニウム合金製のボルトを採用することで、発電事業期間中の機器の信頼性を高めることができた。

 もう1つの目的は施工期間を短縮すること。架台の上に太陽電池モジュールを載せる際、接地線(アース線)の取り付け工事に手間取ることがある。アルミニウム合金製のロックボルトを用いたため、接地線を接続しなくても架台とモジュール間を接地できたという。

太陽電池の性能も高い

 太陽電池モジュールでは、工期を短縮できる工夫を凝らし、発電量が多くなる製品を導入した。12.2MWという出力を得るために用いた太陽電池モジュールの枚数は4万6690枚*2)。梱包材にくるまれたモジュールを取り出して設置するだけでも作業量は多い。そこで、同社の従来製品(PV-MGJ250BBFR)と比較して梱包材の使用量を3分の1に抑えた製品を用いた。開梱作業時間を短縮できたことに加えて、梱包廃材が減り、環境負荷低減につながったという。

*2) 単結晶シリコン太陽電池セルを組み込んだ太陽電池モジュールを用いた。小名浜・泉ソーラー発電所では同じ太陽電池モジュールを2万3660枚設置する。

 新たに採用した同社の太陽電池モジュールの出力は261W(変換効率15.8%)。従来のPV-MGJ250BBFR(出力250W)より4%出力が高い。さらに出力保証期間が従来の20年から25年に延びている。「太陽電池モジュールの劣化(出力低下)は工場出荷直後から始まっている。従来の20年保証では、取り付けまでに要する時間を考えると、実際の保証期間が20年以下になる。今回の当社の製品は納入してから25年間を保証する」(三菱電機)。加えて、20年間にわたる発電量が増える工夫もあるという*3)

*3) 「従来製品の最大出力は設置後、階段状に下がっていき、最終的には初期値よりも20〜30%下がる。今回採用した製品は直線的に出力が下がっていくため、従来品よりも20年間の出力量が多くなる」(同社)。

管理・運営も細やか

 完成した発電所が20年間にどれほどの電力を生み出すことができるのか、これは管理・運営にかかっている。今回の事例では三菱電機プラントエンジニアリングに設置したサービスセンターが20年間24時間体制で発電所全体の運転状況を監視する。太陽電池モジュールやパワーコンディショナーだけでなく特別高圧設備も監視対象とした。

 さらに発電所の気象条件の取得し、予測発電量を計算、実際の発電量と比較して、設備の異常箇所を特定する仕組みも盛り込んだ。

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