風の揺らぎを熱でカバー、作った蒸気でバイナリー発電自然エネルギー(2/2 ページ)

» 2014年08月25日 07時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]
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太陽熱をどうやって集める

 図2左側の部分は東芝が担当する。この部分の実証目的は、太陽熱集熱装置のシステムとしての実現性を検証することだ。実現性とは小規模な施設で経済的に使える電気や熱の供給源となるかという意味。

 「当社が注力するのは太陽熱発電システム全体をデジタル制御する部分の開発である。風力出力予測システムを使って、系統に出力できない短期的な電力量を予測し、電気ヒーターを動かす」(東芝)。

 太陽熱集熱器はトラフ型と呼ばれるもの。雨どいのような形をした放物面鏡を並べ、その焦点に媒体を通すパイプを一直線においている。パイプにのみ太陽光が集まり、効率的に加熱できる。

 集熱器の構成は大型のものが1列6台、小型のものが4列64台ある。「全体で600〜700kWの熱を作り出す。大型6台と小型64台の出力はほぼ等しい(同社)*2)

*2) 「今回の実証試験では太陽熱集熱器自体にはあまり技術ポイントはない。当社は過去に国内で太陽熱集熱器を設置した実績はない」(東芝)。

バイナリー発電側の動作は

 図2の右側は神戸製鋼が担当する。この部分の実証目的は2つある。太陽熱を熱源としてバイナリー発電機を動かすことができるかどうか、次に、天候によって異なる熱量をバイオマスボイラーで補完できるかどうか。以上の動作データを検証し、蓄積する。風力発電の余剰分、太陽熱とも時間の経過に従って複雑に変動するはずだ。

 「バイナリー発電機自体は製品化済みの『MB-125S』をそのまま利用する。太陽熱や風力から得られる蒸気は1時間当たり1000kg。天候不順などの際にこれを補うため、バイオマスボイラー2基*3)を利用する。合計して1時間に450〜500kgの蒸気(130度以上)を作り出すことができる装置だ」(神戸製鋼)。

 「バイナリー発電機の設備能力(出力)は70kWだ。取り出せる温水の量は実証試験で確かめる。今回重要なのは、8月から3月までの間、夏、秋、冬、春のデータを取得できること。このようなデータは国内にはない」。

*3) いずれも九州オリンピア工業が製造した装置を利用した。1基は木質ペレットを燃料とし、もう1基は淡路島の竹チップを燃料とする。

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