太陽電池の出荷が7割に落ち込む、原因は2つ自然エネルギー(2/2 ページ)

» 2014年09月03日 16時30分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]
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一般事業用が落ち込む

 太陽電池モジュールの用途別の出荷量を見ると、今四半期の落ち込みを説明する川下側の要因が、一般事業用だと分かる。

 国内の用途は住宅、非住宅に大別できる。非住宅は発電事業と一般事業に分かれる。この3つの用途で国内のほぼ100%を占める。JPEAによる発電事業の定義は売電を目的とした出力500kW以上のもの、一般事業はオフィスや工場、公共施設などに設置したもの(容量を問わない)としている。

 図3に住宅(空色)、発電事業(オレンジ色)、一般事業(黄色)の推移を示した。前四半期に大きく伸びた一般事業が44万7751kWも減少し、前四半期比62%に落ち込んでいる。これだけで今四半期の落ち込みの50%に相当する量だ。住宅用と発電事業用は全四半期比7割以上の水準で持ちこたえた。

 住宅用の太陽光発電システムに対する国の補助金は2013年度で終了している(関連記事)。経済産業省は補助金の使命は終わったと説明しているものの、図3からは住宅への導入量が頭打ちになっていることが読み取れる。

 図3に記した住宅用の比率(%)を見ると今四半期は26%であり、比率自体は下げ止まった形だが、絶対値では2012年度第3四半期をわずかに上回る低い水準にある。

図3 太陽電池モジュールの出荷量に占める主な用途(2012〜2014年度、kW)。住宅用(空色)、発電事業用(オレンジ色)、発電事業用以外の非住宅用(黄色) 出典:JPEAの調査結果に基づいて作図

9割を国内で生産している品種もある

 JPEAはこれ以外にも、さまざまな数値を公開している。例えば、出荷された太陽電池モジュールを最大出力別に分類すると、200W以上300W未満のものが78%を占める。これは住宅の屋根に設置する用途やメガソーラーを考えると妥当な結果だろう。

 太陽電池モジュールに使われている太陽電池セルは単結晶シリコン、多結晶シリコン、薄膜シリコンやCISなどのその他の半導体に分けられる。今四半期ではそれぞれを採用したモジュールの比率は38.7%、48.5%、12.7%となった。それぞれに占める国内生産比率は42.3%、23.9%、88.7%であり、その他の半導体が9割近く国内で生産されていることが分かる。

*1) 調査対象47社は以下の通り(うち39社からの回答を集計)。JPEAは日本で登記されており、外国法人などによる株式保有率が50%未満の法人を日本企業としている。47社のうち社名をかっこで囲んだ20社が該当する。CHAORI SOLAR、First Solar Japan、(LIXIL)、LS産電、REC Solar Japan、SunLink PV Japan、Upsolar Japan、ZENPOWER、(旭硝子)、(伊藤組モテック)、(イワテック)、インリー・グリーンエナジージャパン、ウエストホールディングス、エクソル、(エスパワー)、カナディアン・ソーラー・ジャパン、(カネカ)、(京セラ)、(クリーンベンチャー21)、サニックス、サンテックパワージャパン、(シャープ)、(ジャパンソーラーファクトリー)、新興マタイ、センチュリースバルソーラー、(ソーラーフロンティア)、ソプレイソーラー、(高島)、(長州産業)、(東芝)、トッパーサン・ジャパン、トップ・ランナー、トリナ・ソーラー・ジャパン、トワダソーラー、ネクストエナジー・アンド・リソース、ネミー、(ノーリツ)、(パナソニックグループ三洋電機)、ハレオンソーラージャパン、ハンファQセルズジャパン、(日立アプライアンス)、(フジプレアム)、ホットサンエナジー、(三菱電機)、(明成商会)、リープトンエナジー、レネソーラ・ジャパン。

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