風力の揺らぎを吸収「蓄電池」、構造変えて900A蓄電・発電機器(2/2 ページ)

» 2014年09月09日 07時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]
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電池内部の端子などを改良

 大電流を取り出すことを可能にする工夫は、2つある。いずれも「配線」に関係する改良だ。「蓄電池の構造は一般的な鉛蓄電池と同じであり、新製品でも正極、負極、電解液は従来製品と変わらない」(日立化成)。2Vという電圧や1500Ahという容量も同じだ。

図2 鉛蓄電池の構造(上)と新旧製品の外見(下) 出典:日立化成

 第1の工夫は端子の本数だ(図2)。端子とは蓄電池の外部に電流を取り出す部分の部品。従来品では図2の右下にあるように、端子の数は正極に1本、負極に1本ある。これを新製品ではそれぞれ3本に増やした。これで端子部の断面積を約25%増やすことができたという*4)

 第2の工夫は蓄電池内部で複数の極板を並列接続している鉛溶接部だ。図2の上で青く縁取りした「くし形」の部分である。図2ではくし形の部分が全ての正極板を並列につないでおり、赤色のプラス端子と直結している(実際には負極用にくし形がもう1本ある)。新製品ではこのくし形の部分を極板当たり3本に増やし、1本当たりの電流密度を3分の1にした。

 以上の2つの改良によって、放電時に大量の電流を流した場合に起こる発熱や電圧降下(高抵抗だと電圧が大きく下がる)を抑制でき、従来の1.5倍の電流に耐えられるようになったという。なお、改良の結果、蓄電池の寸法(507mm×172mm×437mm)は変わらないものの、重量は従来品(約109kg)から2kg程度重くなっている。

*4) 電線の抵抗は線の長さに比例し、断面積に反比例する。そして、電流は抵抗に反比例する。従って、断面積が25%増えると電流も25%増える。

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