超小型EVでカーシェアリング、数kmの移動に適する電気自動車

ホンダは2014年10月1日から約2カ月間、さいたま市と共同で電気自動車の社会実験「超小型EVにサクサク乗ってみませんか?」を実施する。市内34カ所に設けたステーション間をホンダの「MCーβ」で移動できる。

» 2014年09月17日 09時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]
図1 社会実験のポスター 出典:ホンダ

 ホンダは2014年10月1日から同年11月30日まで、さいたま市と共同で電気自動車の社会実験「超小型EVにサクサク乗ってみませんか?」を実施する(図1)。さいたま市民や市内企業の従事者、同市への来訪者を対象とする。

 超小型EV「MC-β(エムシーベータ)」*1)を9台用意して、大宮駅を中心とした南北5km強、東西4km強の範囲にある市内34カ所のカーステーション間を移動できるというもの(図2)。ワンウェイ型カーシェアリングをうたう。

 登録会員となった後、スマートフォンやPCから乗車30分前までの貸し出し(チェックイン)を申し込むことができる。予約も可能だ。チェックイン時には乗車するステーションと下車するステーションを指定しなければならない。「違法駐車を誘発しないために下車するステーションを指定する仕組みを採った」(ホンダ)。

 チェックイン後30分以内に乗車する必要がある。サービス時間は9時〜20時。利用料金は初乗り10分100円、以降5分ごとに100円。事前予約料金は500円。

*1) 2013年11月に同社が発表した仕様の車両にGPSやカードリーダーなどの予約システムを搭載したもの(関連記事)。前後(右前と左後)に大人が2人乗車可能で、最高時速は70km、満充電時に80km走行可能。寸法は全長2495mm、全幅1280mm、全高1545mm。最小回転半径は3.3m。

図2 超小型モビリティ「MC-β」 出典:ホンダ

何を調べるのか

 同社は2013年7月に熊本県、さいたま市、沖縄県宮古市を舞台に超小型EVを用いた共同社会実験を開始すると発表している。さいたま市では大都市圏向け、宮古市では離島向け(関連記事)、熊本県では郊外向けの実験を進めている。

 人口126万人を擁するさいたま市のような大都市圏では、渋滞解消や二酸化炭素(CO2)排出量削減が強く求められる。移動距離の少ない都市内部間の交通手段も必要だ。「少子高齢化が進む中、過度に乗用車に依存しない交通社会ができないか、調べたい」(ホンダ)。既に市職員の事務連絡用公用車として庁内シェアリングの実験の他、市民に半日から1日のモニター貸し出しを実施している。

 「さいたま市から他の都市や郊外に移動するというのではなく、市内を移動する手段を探る。バスやタクシーが果たしている役割のプラスαを探る形だ」(ホンダ)。このため、さいたま市から外に走り出た時には、音声案内とメールで、市内に戻るように指示を出す仕組みを採った。MCーβに取り付けたGPSを使って境界条件を判定する。

超小型EVの現在

 社会実験が進む超小型モビリティ。しかし、法制度に課題があるようだ。2013年11月にMC-βを発表した際には、国土交通省の「新車両区分」と「欧州L7カテゴリー」を視野に入れた車両と位置付けていたものの、肝心の新車両区分が成立していない。

 「超小型EVに適用する法律が不十分だ。例えば衝突安全性について、超小型EVでは軽自動車とは異なる基準が必要だ。今回は社会実験であるため、国土交通省から個別に許可を得て走行する。一般道を自由に走るためには、法整備を進めなければならない」(ホンダ)。

テーマ別記事一覧

 電気自動車 


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.