風力発電所を福井県に建設へ、再生可能エネルギーを推進する北陸電力自然エネルギー

九州をはじめ全国各地の電力会社が再生可能エネルギーによる発電設備の接続を保留する事態にある中で、北陸電力はみずから風力発電所の建設計画を推進していく。大型風車4基による風力発電所を福井県の北部で2015年11月に着工して、2017年1月に運転を開始する予定だ。

» 2014年10月07日 11時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 北陸電力グループの日本海発電が福井県の坂井市に「三国(みくに)風力発電所」を建設する計画を進めている。建設予定地は福井港に面した工業団地の中で、北陸電力が所有している未利用地である(図1)。港をはさんだ対岸では北陸電力の「三国太陽光発電所」や「福井火力発電所」が運転中だ。

図1 「三国風力発電所」の建設予定地。出典:北陸電力

 日本海側に向けて4基の大型風車を設置して、最大8MW(メガワット)の電力を供給することができる(図2)。年間の発電量は1500万kWhを見込み、一般家庭で4000世帯分を超える規模になる。

 設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)は21.4%を想定していて、風力発電の標準値20%よりも少し高い水準である。福井港の周辺は年間平均風速が6メートル/秒を超える風力発電に適した場所で、年間の発電量は想定値を上回る可能性が大きい。

図2 「三国風力発電所」の完成イメージ。出典:北陸電力

 三国風力発電所の建設計画に対しては、環境影響評価の手続きが不要であることを経済産業省が2013年2月に決定済みである。その決定を受けて日本海発電は独自の環境調査を実施して、その結果をもとに地元の坂井市に2014年10月3日に建設を申し入れた。予定どおり2015年11月に着工して、2017年1月に運転を開始する見通しになった。

 風力発電所の建設にあたっては発電能力が10MW(1万kW)以上の場合に環境影響評価が必要になる。やや小規模の7.5MW以上でも環境影響評価を必要とする場合があり、経済産業大臣が必要性を判定することになっている。坂井市にはカモなどの渡り鳥が飛来するが、影響は小さいと判断した。

 三国風力発電所は北陸電力グループが建設する2つ目の風力発電所になる。1つ目は石川県で稼働中の「福浦(ふくら)風力発電所」(発電能力21.6MW)である(図3)。このほかに石川県と福井県から事業譲渡を受けた風力発電所が3カ所にあったが、福井県の「国見岳(くにみだけ)風力発電所」は2013年12月に発生した火災・破損事故の後に2014年4月に廃止した。

図3 「福浦風力発電所」の全景。出典:鹿島

 それでも北陸電力は地域内の再生可能エネルギーを拡大するために、三国風力発電所の建設計画を進める方針だ。福井県では西部の若狭湾周辺に関西電力の原子力発電所が集まる一方、北部や内陸部で太陽光発電や小水力発電の導入が活発になっている。ただし風力発電は少なく、北部のあわら市でJ-POWER(電源開発)グループが「あわら北潟(きたがた)風力発電所」(20MW)を運転しているだけである。

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