可搬型エネルギーの時代、電動工具の進化に潮目を見る和田憲一郎が語るエネルギーの近未来(5)(3/5 ページ)

» 2014年10月23日 07時00分 公開

園芸用機器にも拡大

和田氏 電動工具以外にも、マキタの園芸用機器に充電式が採用されている。どのような優位性があるのか。

金澤氏 園芸用機器では、3つの要素が大切だと考えている。パワー、作業量、価格だ。ハイパワーが必要な長時間の作業についてはまだエンジン式に分がある。充電式のランニングコストは安い。イニシャルコストを抑えることが、成長の課題である。

 充電式には幾つものメリットがある。その1つが「音」だ。音が大きいと、刈り払い(草刈り)作業で問題になることがある。例えば病院の近く作業だ。動物園であれば、動物が音に驚く場合がある。「臭い」もメリットだ。エンジン式では排気の臭いが問題になることがあるからだ。このような時、充電式はとても有効である。

 充電式のメリットはまだある。ビニールハウス内で使用する場合、排ガスは避けたい。チェンソーであれば、木に登って、エンジンを停止したり起動したりしなければならず面倒だ。充電式であれば排ガスはなく、始動や燃料などのメンテナンスが容易だ。季節性がある機器ではこのような特徴がユーザーにとってありがたい。

手塚氏 最近話題を集めている製品の1つが、充電式の草刈機だ(図4)。草刈正雄さん親子のCMを見ていただいたことがあるかもしれない。低騒音・低振動はもちろん、軽量で扱いやすいことが特徴だ。これからもこのような製品を顧客に届けることができればと考えている。

金澤氏 世界市場においては、求められる製品が異なる(ため、充電式に必要な能力も変わってくる)。日本と欧米では刈り幅が違う。理由の1つは芝面の大きさだ。日本であれば幅230〜280mmが主流。対して、欧米では幅370〜460mmが主流になっている。

図4 充電式草刈機 出典:マキタ

和田氏 今後に期待できる製品分野は何か。

金澤氏 当社のプラットフォームを展開できること、当社の販路で扱えることが条件となる。当社の機器は実際に手で動かせる範囲を扱うものが多い。最近よく伸びているものの1つにクリーナーがある。従来の掃除機とは異なり、ハンディタイプで充電式でもある。例えば家庭用に向く。特別な用途では新幹線がホームに到着した際の車内掃除などでも活用されている。クリーナー以外では、LED投光器やLEDランタン、蛍光灯、ラジオ、変わったところでは海外向けにコーヒーメーカーまである。

 工具のみならず、暖房ジャケットなど、マキタプラットフォームを活用できるものであれば、これからも製品を開発していきたいと考えている。

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