出力335Wの単結晶太陽電池、モジュール性能を更新蓄電・発電機器

中国Trina Solarは2014年10月、単結晶シリコン太陽電池セルを用いた太陽電池モジュールにおいて、出力335.2Wを得たと発表した。同社によればモジュールの出力値としては世界記録に相当するという。

» 2014年10月23日 19時50分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 中国Trina Solarは2014年10月、単結晶シリコン太陽電池セルを用いた太陽電池モジュールにおいて、出力335.2Wを得たと発表した。同社によれば出力値(Pmax)としては世界記録に相当するという。独立系の検査機関であるドイツTÜV Rheinland(テュフラインランド)が測定した。

 今回の太陽電池モジュール「ハニーモジュール」は標準的なサイズのもの。同社の太陽光発電技術国家重点実験室で開発された156mm角のp型単結晶シリコンセルを60枚利用した。

 Trina Solarは、2014年4月にもハニーモジュールを用いて326.3Wという出力値を得ている*1)。同社によれば当時の世界記録だという。裏面パッシベーション技術と低抵抗接続技術を利用して達成した。今回はこの記録を8.9W(2.7%)伸ばした形だ。

*1) 同社は2013年11月、単結晶シリコン太陽電池セルにIBC(Interdigitated Back Contact)技術を適用することで、セル変換効率24.4%を達成している。同技術を採用したセルは裏面電極型太陽電池セルとも呼ばれる。なお、太陽電池モジュールには発電に寄与しない部分があるため、セル変換効率よりも効率が低くなる。

 同社の技術国家重点実験室で副社長兼ディレクターを務める鳳志強(Zhiqiang Feng)氏は発表資料の中で、前回の記録からわずか6カ月後に新記録を打ち出したという点を強調している。同社は技術革新のリーダーとして台頭した形であり、今回の技術を商品にも展開する方針を示した。

現行製品をどの程度改善できるのか

 同社はハニーモジュールを日本国内でも販売中である。「DC05A Honey M モジュール」(1650mm×992mm×35mm)は住宅や産業用途、メガソーラーに利用できる。156mm角の単結晶シリコンセルを60枚内蔵した同モジュールの出力は、最大275W(変換効率16.8%)*2)

 新技術を全て製品に取り込むことができれば、出力が50W以上も増加し、変換効率は約20%に達する計算だ。

*2) 現行製品ではシリコン表面の加工に特徴があり、入射光を逃しにくい微小なピラミッド構造を作り込んでいる(セル表面テクスチャリング技術)。この他、バスバー電極をセルの法線方向に細長く作り込み、電極によって遮られる光の量を減らしている。

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