LED技術を利用して高輝度、大光量の照明を作り上げようとする場合の課題は、大量に発生する熱の処理だ。LEDはあまりにも高温になると寿命が短くなり、発光効率(省エネ性能)が落ちてしまう。すると、高圧水銀ランプなどに対する優位性が下がる。
今回の開発課題は、LEDの集積度を上げ、同時に放熱性能を改善することだ。一般に発熱する部品の集積度(面積当たりの数)を増やすと、熱を逃がすことが難しくなる。それでもLEDの集積度を低くすると、熱問題の難易度は下がるものの、個々のLEDチップからの光が分離して、床面にあるモノに複数の影(多重影、マルチシャドウ)が生じて、見えにくくなるためだ。
開発品では3つの手法を組み合わせて熱の問題を解決した。第1に熱を伝えやすい基板を熱伝導板として用いたこと(図3のA)、第2にLEDチップを直接基板上に実装し、配線後に樹脂で封入した(図3のB)。これをCOB(Chip on Board)と呼ぶ。LEDチップから基盤への放熱性を開発当初と比較して約1.8倍に改善したという。以上をSTEQとの共同開発で実現した。
熱伝導板の熱を周辺の空気に逃がすために、小型で高性能な放熱フィン(ヒートシンク)を開発した(図3のC)。これが第3の手法だ。従来の技術の放熱性と比較して約2.5倍性能を高めることができたという。鹿児島大学との共同開発で実現した。
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