4年連続で夏の最大電力を減らす、長野県が2011年度比で12.9%削減スマートシティ

夏と冬に県を挙げて節電に取り組んでいる長野県が、2014年度の夏は最大電力を12.9%も削減した。2011年度から4年連続で最大電力が低くなり、県全体で節電効果が高まっている。月間の販売電力量も6月から9月を通して減少傾向を続けていて、引き続き今冬も県全体で節電に取り組む。

» 2014年10月28日 15時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 長野県は2011年度の夏から「さわやか信州省エネ大作戦」を実施して、電力需要が増加する夏と冬の節電対策に取り組んできた。2014年度の夏は最大電力を2011年度比で7%削減する目標を掲げたが、それを大幅に上回る12.9%の削減に成功した。

 最大電力は震災前の2010年度の293万kWと比べて、37.7万kW少ない255.3万kWに収まった(図1)。震災後の2011年度の夏から4年連続で最大電力が減少している。2014年度の夏は中部電力の管内全体でも最大電力が9.5%低下したが、長野県は約3ポイント高い節電率を上げたことになる。

図1 長野県における夏季の最大電力。出典:長野県環境部

 2014年度の夏は県内各地の最高気温が前年と比べて低めに推移したことも電力需要を押し下げる要因になった。最大電力が発生した日で比較すると、長野市内の最高気温は2010年度よりも1.8度低かった。

 ただし1日を通した電力需要を見ると、0時台から23時台まで常に低くなっていて、気温に関係なく電力の使用量が少なくなっている状況もうかがわれる(図2)。長野県が県の庁舎をはじめ県民を巻き込んだ省エネ大作戦を継続的に実施してきた効果が表れている。

図2 最大電力が発生した日の電力需要。出典:長野県環境部

 今夏は最高気温が35度を超えた猛暑日の7月30日に「ピークカットチャレンジ」を開催して、県民に昼間の外出を促すなどのキャンペーンを実施した。こうした節電対策に加えて、太陽光発電や小水力発電を中心に県内の再生可能エネルギーが拡大したことも電力需要の低減に貢献したと考えられる。すでに再生可能エネルギーの導入量は最大電力の70%を超える水準に達している。

 県全体の月間の販売電力量も最大電力と同様に減少を続けている(図3)。長野県では今冬も省エネ大作戦を実施する予定だが、2013年度の冬は1月から3月まで月間の販売電力量が前年を上回った。2014年度の冬は前年だけではなくて2012年度の実績を下回ることができるかに注目したい。

図3 長野県内の月別販売電力量。出典:長野県環境部

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