電力に代わって都市ガスの販売量が伸びる、上半期に全国で2.1%増加電力供給サービス

全国で207社ある一般ガス事業者が2014年度の上半期に販売した都市ガスは前年から2.1%の増加になった。特に工業用が5.2%伸びたほか、家庭用も顧客数の増加に伴って0.8%の成長に転じた。電力の販売量が減少を続ける中で、コージェネレーションを中心にガス市場の拡大が目を引く。

» 2014年10月29日 15時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 日本ガス協会がまとめた2014年度上半期(4〜9月)の速報値によると、全国207の一般ガス事業者を合計した都市ガスの販売量は前年同期比で2.1%伸びた(図1)。前年度は0.5%の伸び率だったことから、2014年度に入って成長が加速している。顧客数も全国で約25万の増加になり、3000万の大台に近づいた。

図1 用途別の都市ガス販売量と2014年9月時点の顧客数(速報値)。出典:日本ガス協会

 都市ガスの用途別に見ると、販売量の約6割を占める工業用が5.2%の大幅な伸びを記録した(前年度は2.6%増)。工場向けに新たな需要を開拓したことが主な要因に挙げられている。電力と熱の両方を供給できてBCP(事業継続計画)にも有効なコージェネレーションの導入が拡大したものとみられる。

 さらに家庭用が0.8%の増加に転じて、前年度の5.0%減から回復した。上半期に家庭用だけで顧客数が25万件も増えて、工業用と同様にコージェネレーションが販売量を押し上げている。夏の気温が全国的に低めに推移して給湯の需要が増加したことも一因である。一方で商業用は冷房需要の減少によって前年から4.7%のマイナスになった。

 地域別では市場全体の5割強を占める関東・甲信越が6.0%と最大の伸び率を示した(図2)。このほか四国と九州・沖縄も前年から増加したが、そのほかの地域では減少した。減少率が最も大きかったのは近畿の3.1%である。

図2 地域別の都市ガス販売量と2014年9月時点の顧客数(速報値)。出典:日本ガス協会

 都市ガスとは対照的に、電力の販売量は減少傾向を続けている。全国の10電力会社を合計した上半期の販売量は前年比で3.5%も減った。今夏の天候が電力需要を押し下げた面はあるものの、企業と家庭の節電対策によって構造的に市場が縮小していることは明らかだ。電力に続いてガスの小売全面自由化も2017年4月に実施される見通しで、電力会社がガス事業を強化する動きも始まっている。

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