家庭向けの「従量電灯」の場合には、電力量料金の単価を月間の使用量に応じて3段階で設定している(図3)。
第1段階は各地域ともに120kWhまで安い単価を適用する。第2段階は北海道を除いて300kWhまでで(北海道は280kWh)、それを超えると第3段階の高い単価になる。
普通に考えると使用量が多くなるほど単価が安くなりそうなものだが、電気料金は逆だから注意が必要だ。月間で300kWhは一般的な家庭の使用量で、電力会社はそれを前提に発電量を確保する。標準を上回った分の電力の発電コストが割高になることを理由に、300kWhを超えた場合の電力の単価を高くしている。
家庭の電気料金を安くするためには、まず月間の使用量を300kWh以下に抑えることが重要である。電力会社から毎月送られてくる「電気ご使用量のお知らせ」という明細票には、月間の使用量や請求金額のほか、3段階の電力量料金や燃料費調整額が記載されている(図4)。
今後は各家庭にスマートメーターが設置されて、電気代や使用量が日々わかるようになる。例えば関西電力が提供する「はぴeみる電」と呼ぶサービスでは、パソコンの画面で月単位や日単位、さらに1時間ごとの使用量を確認することができる(図5)。すでにサービスの登録者数は80万件に達している。
電気料金の基本的な仕組みを理解しておけば、効率的に料金を安く抑えるための環境は整いつつある。2016年4月に小売の全面自由化が実施されると、電力会社以外の事業者からでも家庭の電力を購入できるようになる。
特に電力会社の料金水準が高い地域では、割安な料金設定で電力を販売する事業者が増えることは確実だ。家庭向けに加えて、小規模の店舗・工場向けの小売も自由化される。すでに自由化が始まっている一般企業向けの電力を含めて、事業者間の販売競争が活発になっていく。
第2回:「店舗や工場が利用する低圧電力、自由化を前に東京の単価は北陸の1.5倍」
第3回:「オフィスで使う業務用電力、東日本が高く、西日本は安い」
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