地熱開発の補助金が全国52地域に、ハウス栽培や養殖にも生かす補助金

2014年度に28億円の国家予算をかけて実施する地熱開発の補助金の対象に新たに9件が加わった。すでに確定している43件と合わせて合計52地域に補助金を交付する。全国各地で地熱発電の開発を支援するほか、発電後の熱水を利用したハウス栽培や養殖事業も補助金で促進していく。

» 2014年11月05日 15時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 経済産業省は「地熱開発理解促進関連事業」の補助金を交付する対象に、全国で9件のプロジェクトを新たに採択した。北海道の足寄町(あしょろちょう)をはじめ、東北で4件、中部と中国で各1件、九州で2件が選ばれた(図1)。

図1 新たに地熱開発の補助金の対象に選ばれた9つの地域。出典:経済産業省

 今回の採択は2014年度の三次公募に対するもので、すでに決まっている一次・二次公募と合わせて合計で52地域のプロジェクトに補助金を交付する。補助金の総額は28億円を見込んでいる。地熱発電設備を導入するプロジェクトのほかに、既存の地熱発電設備が放出する熱水を含めて未利用の地熱を利用した事業が対象になる。

 三次公募で選ばれた9件のうち、足寄町では発電後の熱水をイチゴ栽培などに利用することを検討中である。福島県の柳津町(やないづまち)では、東北電力の地熱発電所からの熱水をハウス栽培や養殖事業に二次利用するための調査を実施する方針だ。

 長崎県の雲仙市にある小浜(おばま)温泉では2013年4月に「小浜温泉バイナリー発電所」(図2)を稼働させたのに続いて、さらに未利用の温泉熱を利用した養殖施設の整備を2015年度から進める計画である。補助金を使って地元の漁業・観光関係者を対象にした勉強会や視察を実施して地熱開発プロジェクトを推進していく。

図2 「小浜温泉バイナリー発電所」の全景。出典:洸陽電機

 このほかに補助金の交付先に選ばれた6つの地域は、岩手県の「つなぎ温泉地域」、宮城県の「栗駒山南麓地域」、福島県の「土湯温泉地域」、岐阜県の「奥飛騨温泉郷地域」、島根県の「有福温泉町地域」、大分県の別府市である。このうち土湯温泉と奥飛騨温泉郷では2015年の運転開始に向けて地熱発電所を建設する計画が進んでいて、地域の理解を得るための活動に補助金を利用する。

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