新電力のサービス生かす、屋根を使って効率的な太陽光自然エネルギー

日本ベネックスは物流施設の屋根を利用した太陽光発電所「ベネックス流山ソーラーポート」の運転を開始した。特徴は2つある。新電力へ売電することで収益性を高めたことと、工期が短いことだ。

» 2014年11月05日 07時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]
図1 千葉県流山市と建物の位置

 日本ベネックスは物流施設の屋根を利用した大規模太陽光発電所「ベネックス流山ソーラーポート」(千葉県流山市市谷)の運転を開始したと発表した(図1)。

 発電所の出力は2283.6kW(直流)、想定年間発電量は215万kWh。これは一般家庭約600世帯分の年間消費電力量に相当するという。

 日本ベネックスはEPC(設計・調達・建設)事業者として、太陽光発電システムの設計から保守管理まで一貫して取り組む。一部部材を自社で製造できることが特徴だ。「現在施工中のものも含めて5MWの発電所に取り組んでいる。今回は1MWを超える初の自社発電所であり、パワーコンディショナーの屋外収納盤を自社で製造した」(同社)。

収益性の高い発電所を短期間で立ち上げる

 ベネックス流山ソーラーポートの特徴は2つある。新電力へ売電することで収益性を高めたことと、工期が短いことだ。

 常磐自動車道流山インターチェンジに隣接する「ロジポート流山B棟」*1)の屋根を借り、太陽光発電システムを取り付けた。「新電力であるエナリスに固定価格買取制度(FIT)の買取価格よりも高額で20年間電力を供給する」(日本ベネックス)。

 2014年7月に着工し、同年10月末に運転を開始した。「工期を短くできた理由は、屋根の補強が必要なかったこと、折板屋根であったため、太陽電池モジュールの取り付けが容易だったことだ」(同社)。ただし、発電設備の設計には注意を払っている。「地上高さが30mあったため、架台固定を通常の片側2点止めではなく、同3点止めとした。設備が外れないようにするための工夫だ」(同社)。

 インリー・グリーンエナジージャパンの単結晶シリコン太陽電池モジュールを8304枚設置。パワーコンディショナーには明電舎の製品を用いた。「キュービクルと合わせて、図2中央下に見える円形の斜路の地上部分に設置した」(同社)。

*1) ロジポート流山B棟は敷地面積5万9233.33m2の土地を利用した5階建ての物流倉庫。屋根面積は2万3592.40m2、延床面積は14万3355.85m2。屋根面積と比較して出力が高いのは、太陽電池モジュールを水平に設置し、モジュール間隔を狭くとったためだ。

図2 ベネックス流山ソーラーポート(クリックで拡大) 出典:日本ベネックス

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