太陽電池を直結、8kWhの家庭用蓄電池蓄電・発電機器(2/3 ページ)

» 2014年11月06日 07時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

外部の機器と接続しやすい

 パーソナルエナジー338は、蓄電池が一般的に備える交流直流変換(ACーDC変換)機能の他に、直流直流変換(DC-DC変換)機能を備える。これが太陽電池モジュールを直結できる秘密だ。

 「直流200Vから400Vまでの入力が可能だ。パワーコンディショナーが備えているMPPT(最大電力点追従制御)も実行できるため、日照が変化しても、その時々で最大の電力を太陽電池から取り出すことができる」(慧通信技術工業)。

 外部機器とどのように接続できるのか、概要を図2に示した。蓄電池システム本体は、BMU(Battery Management System)とBMUの直下にぶら下がっている蓄電池(図2には描かれていない)からなり、その前後にスマートメーターとDC-AC変換器がつながっている。系統に接続する場合は100Vまたは200Vで充電が可能。

図2 パーソナルエナジー338の内部フローと外部機器との接続 出典:慧通信技術工業

 出力3kWの太陽電池モジュール群をMC4コネクタ経由で接続した場合、晴天時であれば約2.8時間で満充電可能だという。接続できる太陽電池モジュールの容量には特に上限や下限を設けていない。

 太陽電池モジュール以外に小型風力発電機の接続も可能だとした。「当社が要望に応じて太陽電池モジュールの他、直結可能な小型風力発電機も販売する」(WQ)。

 家庭用の大容量蓄電池では、HEMS連携などを通じてさまざまなユーザー設定が可能なことをうたう製品が多い。「充放電設定など複雑な機能を利用できるようにすると、ユーザーの誤操作・誤動作が避けられないと考えた。そこで、内部情報を見る機能だけに特化した。主電源を太陽電池として系統と接続した場合は、電池残量が10%を切ったときに系統から充電するよう自動制御する」(慧通信技術工業)。

 「ユーザーがすぐにシステムと接続できるよう工夫した。リアルタイムOS(RTOS)上で動作するWebサーバを内蔵しており、別途HEMSを導入しなくても、Wi-Fi経由でスマートホンやタブレットから消費電力や電池残量を閲覧できる」(同社)。

技術的な優位性は充放電制御にある

 同社によればパーソナルエナジー338の蓄電池の優位性は充放電制御にあるという。充電時間が短い。「当社がこれまで扱っていた蓄電池と比較すると充電時間が約6分の1だ」(WQ)。

 「高電圧・大電流の充放電が可能になるよう、センサー部品の点数を一般の蓄電池よりも多くした。今回の製品は256個の蓄電池セルからなる。セル数が多くなると、セル間の蓄電容量のばらつきを常にバランスする仕組みが必要だ。当社は充電の際、連続して電流を流すのではなく、停止期間を挟むこと(フローコントロール)によってバランスする手法を採用した」(慧通信技術工業)。「システム内部にはサイクルカウンターを設けた他、蓄電池の内部抵抗値を取得できるようにしている。蓄電池はリニアに劣化するというより、突然劣化する場合があるため、このような情報を利用する」(同社)。

 なお、パーソナルエナジー338全体は自然空冷を採用しているものの、DC-DC変換器とAC-DC変換器部分にはファンを外付けしている。「冷蔵庫のコンプレッサー程度の音に抑えた」(同社)。

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