自宅の太陽光、余剰電力を1円高く売電自然エネルギー(1/2 ページ)

エナリスは太陽光発電を導入した一般家庭からの「余剰電力」の買取を開始した。固定価格買取制度で決められた価格よりも1円高く買い取る。買い取った電力は新電力向けに販売する。新電力に安定した電力を供給するために自社のHEMSを活用することが特徴だ。

» 2014年11月10日 09時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]

 エナリスは一般家庭からの電力買取を開始したと発表した。対象となるのは10kW未満の太陽光発電システムを導入し、宅内で使い切れなかった余剰電力を売電している家庭。

 特徴は2つある。1つは固定価格買取制度(FIT)の買取価格よりも1円高額に買い取ること。2014年度であればFITの37円(税込)が38円(税込)になる*1)。もう1つは契約時に「エナリスHEMS」の導入を条件としたことだ。「買取サービスでは契約料金は発生せず、HEMS導入も初期費用のみが必要だ」(エナリス)。

 同社は再生可能エネルギーによって得た電力をFITの買取価格よりも高く買い取る「プレミアム買取事業」を進めており、2014年9月時点で、高圧(50kW以上)の他、全量買取の対象となる低圧(10kW以上)を扱っている。今回の取り組みで、全ての太陽光発電が対象となった。余剰電力の買取では戸別の最小買取量、最大買取量に制限はない。

 「今回のサービスのニーズは大きいだろう。東京電力管内と関西電力、九州電力、中部電力が有望だと考えている」(エナリス)*2)

 エナリスは購入した電力を新電力(特定規模電気事業者、PPS)に供給する(図1)。なお、エナリスが管理する電力の規模は太陽光を含め、約200万kWに達している。

*1) 「ユーザーに対しては現在の一般電気事業者(例えば東京電力)との契約は継続した形でサービスを提供する」(エナリス)。
*2) 従来のサービス、今回のサービスとも北陸電力管内と沖縄電力管内を除く全国が対象。

図1 プレミアム買取事業の概要 出典:エナリス

太陽光の扱いは難しい

 新電力はさまざまな電力源から電力を調達している。再生可能エネルギーも対象だ。ただし、太陽光発電に由来する電力はハードルがいくぶん高い。個々の太陽光発電所から送られてくる電力が時々刻々変化するからだ。新電力には「30分同時同量」*3)の原則を守ることが求められているため、何らかの方法で調達量を平準化しなければならない。

 新電力に太陽光を売電するエナリスのサービスはこのようなハードルを低くする。エナリスは社内に気象予報士のチームを配置した他、太陽光発電システムの設置地点の日射量を予測するアルゴリズムを開発した。これによって、太陽光発電の出力を予測し、他の電力源と組み合わせて新電力に安定供給できるからだ。

*3)東京電力などの一般電気事業者の送電線を用いて新電力が電力を供給する場合の義務。供給量と需要量を30分単位で一致させる必要がある。誤差が3%以上と大きくなった場合は、インバランス料金(ペナルティ)を一般電気事業者に支払うことになる。

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