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» 2014年11月19日 11時00分 UPDATE

自然エネルギー:メトロが生かす地中熱、空調電力を3割削減

東京メトロは2014年11月、地中熱利用空調システムを2カ所の設備に導入すると発表した。年間を通じて温度変化の少ない地中熱を用いることで、空調の消費電力量を約3割削減できる。

[畑陽一郎,スマートジャパン]

 東京メトロは2014年11月、地中熱利用空調システムを2カ所の設備に導入すると発表した(図1)。季節によって温度が変わる大気熱を空調に利用したときと比較して、ほぼ一定温度の地中熱を利用すると、消費電力量や二酸化炭素排出量を削減できる。

yh20141119metro_concept_412px.jpg 図1 地中熱利用空調システムの仕組み 冬季(左)、夏季を通じ、気温と地温の差を利用して空調費用を削減できる 出典:東京メトロ

 消費電力量の削減量率、二酸化炭素の排出量の削減率はいずれも約3割。2カ所を合計して年間約29.4MWhの電力と、16トンの二酸化炭素排出を削減できる見込みだ。

垂直に100m、細い穴を掘る

 地中熱利用空調システムを導入するのは、中野車両基地(中野区弥生町)と総合研修センター(仮称、江東区新木場)。2015年4月ごろに中野区で、2016年4月ごろに江東区で空調システムが動き出す予定だ。

 いずれもボーリングマシンを利用して、地中熱を取り出すための孔(熱交換井)を約100m掘り下げる。いわゆるボアホール工法と呼ばれる手法だ。中野車両基地の熱交換井は30本、総合研修センター(仮称)は同9本だ。

yh20141119metro_tubes_338px.jpg 図2 熱交換井に熱交換チューブを送り込んでいるところ 新木場の工事現場。出典:東京メトロ

 その後、ポリエチレン製の熱交換チューブを熱交換井の中に通す(図2)。熱交換チューブの中には水または不凍液を封入する。そして地中から取り出した熱(冷熱)を地中熱源ヒートポンプに受け渡す。その後は一般的な空調と似た方法で、室内に温風(冷風)を送り出す。システム全体の構成は図3のようになる。

yh20141119metro_system_550px.jpg 図3 ボアホール工法を採用した地中熱空調システムの全体像 出典:東京メトロ

空調システムの能力が高い

 2カ所の設備の空調システム能力は以下の通りだ。

 「中野車両基地は、車両検査工場であり、作業場に空調を導入する。冷房能力45.0kW(暖房能力50.0kW)の空調設備を3台導入する。設備の性能を示す成績係数(COP:Coefficient Of Performance)は、冷房が6.4、暖房が5.6だ」(東京メトロ)。中野車両基地では年間21.4MWhの電力を削減できる。一般の空調機を採用した場合と比較して31%の電力量を削減できる。

 総合研修センター(仮称)ではエントランスに冷房能力43.4kW(暖房能力49.5kW)の空調機を1台導入。COPはそれぞれ5.5と4.4だという。電力量の削減は年間8.0MWhに達し、一般の空調機と比べて29%、消費電力量が少なくなる。

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