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» 2014年12月01日 16時30分 UPDATE

電力供給サービス:東北に大規模風力導入、まず送電線を引く

東北電力は「風力発電のための送電網整備実証事業」の採択事業者2社に出資し、系統業務を扱う技術部門の責任者を派遣する。大規模風力のための送電網を作り上げる計画に協力する形だ。

[畑陽一郎,スマートジャパン]
yh20141201tohoku_map_250px.png 図1 青森県上北地域と秋田県能代港(北)、秋田港(南)の位置

 東北電力は2014年11月27日、上北送電と秋田送電からの協力要請を受け、両社に出資、取締役を1人ずつ派遣すると発表した(図1)。上北送電に250万円、秋田送電に500万円を出資する。「派遣するのは系統業務を扱う技術部門の部長級の取締役だ」(東北電力)。

 上北送電と秋田送電は経済産業省資源エネルギー庁が公募した「風力発電のための送電網整備実証事業(実証事業)」において、2014年9月に採択された事業者。両社はそれぞれ青森県と秋田県で風力発電を大規模導入し、専用送電線を整備・管理する特定目的会社(SPC)である。

送電線が足りない

 東北電力が実証事業に協力する理由はこうだ。2014年9月30日、同社を含む5社が一斉に再生可能エネルギーを用いる発電所の契約申し込みの保留を発表している(関連記事)。これらの発電所の発電量が需要量を超えてしまう日(軽負荷時)が見込まれるという説明だ。供給量が需要量を超えると周波数が高くなり、最悪の場合停電に至る。

 長期的にはもう1つ理由がある。送電線だ。従来の送電線は大規模発電所と大消費地をつなぐ経路を優先し、建設されてきた。それ以外の位置に大規模な発電所を立ち上げると、十分な送電ができない。

 東北地方では風力発電所の適地が集中しており、それらの適地では送電線の容量に余裕がない。風力発電向けのアクセス送電線のルートを選定・設計・建設する必要がある。経済産業省の実証事業が狙うのはまさにこの点であり、東北電力とも利害が一致する。

 実証事業では北海道と東北の一部を特定風力集中整備地区と定めて、地区内の送電網を整備する。送電線の設計・整備の費用の50%を国が補助し、残りの費用は風力発電事業者が利用量として負担する。このようなスキームで風力発電所を拡大していく。

事業はどのように進むのか

 東北地方では実証事業は2014年度から始まり、2015年3月末まで継続する*1)。必要に応じて2016年3月末まで延長される可能性もある。指定地区は青森県(下北・津軽)、秋田県(沿岸)、山形県(酒田・庄内)だ。

 上北送電は、青森県上北地域*2)からの送電を狙い、最大90万kW程度の風力発電所を予定する*3)。秋田送電は秋田県沿岸地域を対象とし、最大60万kW程度を開発する予定だ。秋田港湾・能代港湾からの送電ルートを想定している。

*1) 実証事業は北海道が先行しており、西名寄地区と留萌地区、オホーツク地区が整備地区として指定されている。
*2) 青森県によれば、上北地域は9市町村(横浜町、六ヶ所村、野辺地町、東北町、七戸町、三沢市、おいらせ町、六戸町、十和田市)からなる。
*3) 上北送電への出資者は、青森風力開発、岡山建設、開発電業、日本電機工業、日本風力開発、むつ小川原港洋上風力開発。秋田送電への出資者は丸紅、秋田銀行、北都銀行。

yh20141201tohoku_scheme_530px.jpg 図2 事業のイメージ 出典:東北電力

 事業全体の流れはこうだ。まず開発可能性調査を実施する(図2)。送電線のルートを調査し、仕様を検討する。発電規模や電圧の異なる複数の風力発電所を集約する場合、各発電所をつなぐ送電線の設計や中継用の変電所の配置、接続方法などの検討が必要だ。同時に費用を積算する。可能性調査に対しては国から50%の補助金が支給される。

 その後、経済産業省の中間審査で事業性が見込まれた場合、事業化に向けて送電線を設計し、用地を取得、建設する。なお、東北電力の今回の協力は開発可能性調査に関するものであり、事業化時には再度判断を下すという。

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