行き先が動き回る? 「水素」の検索サービスが必要なワケ電気自動車(2/2 ページ)

» 2014年12月16日 07時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]
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「△」マークや電話はなぜ必要?

 同サービスを開発したのは富士通だ*2)。同社はMIRAIの発売と同日、サービスの運用を開始、概要を発表した。国内初のサービスであり、水素ステーションの位置や稼働情報をリアルタイムに自動車会社向けに提供するというもの。

 水素ステーション管理者や水素供給事業者が入力したデータを富士通のクラウドサービスである「FUJITSU Intelligent Solution SPATIOWL(スペーシオウル)」に集約、各自動車会社向けに提供する(図4)。

 「図1のサービス画面にある『△』マークは移動式の水素ステーションを想定した表示だ。移動式水素ステーションでは、位置はもちろんのこと、稼働状況が変化しやすいだろう。そこで、水素ステーションに電話連絡しやすいインタフェースとした」(富士通)。

 今後は水素ステーションが充実していくにつれ、課金情報や予約機能などのサービスをスペーシオウル上に実装していくことを目指すという。

*2) クラウド基盤上にサービスを構築したため、開発期間は数カ月と短いという。

図4 水素ステーション情報管理サービスのシステム概要図 (クリックで拡大) 出典:富士通

2015年内に100カ所がそろうか

 燃料電池車の販売が始まり、水素ステーションを案内するサービスも登場した。大手の供給事業者が水素の販売価格も発表した(関連記事)。

 次は水素ステーションの充実だ。「現在、営業中の固定式の商用ステーションは2カ所だ」(富士通)。2014年7月に開業した「イワタニ水素ステーション尼崎」(兵庫県尼崎市、関連記事)と同10月に開いた「イワタニ水素ステーション小倉」(北九州市小倉北区)である。

 トヨタ自動車によれば、2014年12月にはさらに2カ所のサービスが始まる。東京ガスの「練馬水素ステーション」(東京都練馬区)とJX日鉱日石エネルギーの「Dr.Drive海老名中央店」(神奈川県海老名市)。

 JX日鉱日石エネルギーは2015年3月中旬までに商用水素ステーションを11カ所に展開すると発表(関連記事)。岩谷産業も2015年度中に20カ所の商用ステーションを開設する計画である。コンビニエンスストアと併設した形の水素ステーションを2015年秋に立ち上げることも発表している(関連記事)。

 経済産業省が2014年4月に公開したエネルギー基本計画では、2015年内に100カ所程度の水素ステーションを整備するとある。2014年6月末時点で、設置のために補助金(燃料電池自動車用水素供給設備設置補助事業)が認められたのは42カ所(首都圏24カ所、中京圏10カ所、京阪神圏4カ所、福岡圏4カ所)。水素ステーションの設置費用は4〜5億円に上るため、設置を予定する事業者は必ずといってよいほど、補助金を頼るはずだ。従って、この数字は実際に立ち上がる水素ステーションの数をかなり正確に反映していると考えられる。

 水素ステーションの建設にはガソリンスタンド以上に準備期間がかかることを考えると、100カ所という目標はかなり高いハードルだといえるだろう。

【訂正】 記事の掲載当初、図3の出典を富士通としておりましたが、これはトヨタ自動車の誤りでした。お詫びして訂正いたします。上記記事はすでに訂正済みです。(2014年12月16日)

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