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» 2015年01月06日 09時00分 UPDATE

エネルギー列島2014年版(37)香川:塩田やため池を発電所に、うどんバイオマスも進展

日本で最も面積の小さい香川県だが、日照時間には恵まれている。限られた土地で太陽光発電を増やすために、瀬戸内海に面した塩田の跡地や、ため池の水上にも発電設備を展開する。全国に知られる讃岐うどんの廃棄物を利用したバイオマス発電も加えて、再生可能エネルギーの導入機運が高まる。

[石田雅也,スマートジャパン]

 気候が穏やかな香川県では、利用できる再生可能エネルギーは3種類に絞られる。現在は太陽光とバイオマスで、将来は海洋エネルギーの可能性がある。特に最近になって太陽光発電の導入プロジェクトが急速に広がり始めた。日照時間が47都道府県の中で11番目に長く、全国平均を1割近く上回る日射量を期待できるからだ(図1)。

nissharyo.jpg 図1 都道府県別の日照時間と面積。出典:香川県商工労働部

 稼働中のメガソーラーでは、かつて製塩で栄えた坂出市(さかいでし)にある塩田の跡地を利用した「坂出ソーラーウェイ」の規模が大きい。7万平方メートルの平坦な土地に、合計で4MW(メガワット)の発電設備を建設した。第1期の2MWが2012年11月に運転を開始した後、第2期の2MWが2014年3月に運転を開始している(図2)。

sakaidesolar1.jpg 図2 「坂出ソーラーウェイ」の全景(第1期分)。出典:日本アジアグループ

 第1期と第2期では太陽電池の種類を変えた。第1期分は高温に強い化合物系の薄膜タイプ、第2期分は価格が安い多結晶シリコンタイプを採用している。年間の発電量は両方を合わせて1200世帯分に相当する見込みだが、太陽電池の種類によって発電量にどの程度の差が出るかは注目だ。

 香川県は面積が小さいながらも、ため池が約1万5000カ所もあって全国で3番目に多い。降水量が少ない瀬戸内式の気候のもとで稲作を増やすための手段である。ため池の中で規模が大きい善通寺市の「吉原大池」では、水上発電設備の実証実験が2014年11月から始まっている(図3)。

tameike.jpg 図3 「吉原大池」の全景。出典:香川県農政水産部

 合計72枚の太陽光パネルを使った実験設備で、水上に浮かべるフロートの素材や形状、さらにパネルの設置角度を変えて、3通りの方法で発電量を比較検証する試みだ。池の水面は風の影響で水位の変動や揺れが生じるほか、パネルが水に濡れることもあるため、フロートの構造や設置角度の違いによって発電量に差が出る可能性がある。

 実証実験を担当する香川県の農林水産部は2016年3月まで発電量の計測を続けて、ため池の水上に最適な太陽光発電の設置方法を確認する。その結果をもとに、県内各地のため池に太陽光発電を展開していく計画だ。

 同じ善通寺市にある「買田池(かいたいけ)」では、ため池に隣接する市営グラウンドを利用して「ぜんつうじ太陽光発電所」が2014年7月に運転を開始した(図4)。発電能力は1.3MWで、年間の発電量は400世帯分に相当する147万kWhを見込んでいる。このメガソーラーでも高温に強い化合物系の太陽電池を採用した。

zentsuji.jpg 図4 「ぜんつうじ太陽光発電所」の完成式典。出典:善通寺市環境課

 善通寺市みずからリース方式で発電所を運営する点が特徴だ。事業者とリース契約を結んで、発電所の建設や維持管理を一括して委託する。善通寺市の売電収入は年間に約5700万円を見込んでいて、リース料などの経費が約4500万円になる。この方式で初期投資をしなくても約1200万円の収益を毎年上げることができる。

 香川県の再生可能エネルギーは太陽光とバイオマスの2本立てで着実に伸び始めた(図5)。太陽光は広い建設用地が限られているものの、ため池などを利用した小規模な発電設備を拡大する余地は十分にある。

ranking2014_kagawa.jpg 図5 固定価格買取制度の認定設備(2013年12月末時点)

 さらにバイオマス発電も出力が安定していることから、地域の資源を活用した新たな再生可能エネルギーとして期待がかかる。中でも香川県ならではのプロジェクトとして注目を集めているのが「うどん発電」である。讃岐うどんの製造工程で発生する大量の残りカスを発酵させて、バイオガスを作って発電する(図6)。

udon.jpg 図6 うどんの残りカスによるバイオマス活用プロジェクト。出典:うどんまるごと循環コンソーシアム

 うどんの残りカスは発電だけではなくて、うどんをゆでる燃料に利用するほか、肥料にしてうどんの原料になる小麦の栽培にも生かす。年間に約1000万トンにのぼる廃棄物をエネルギーに転換して、CO2を排出しない「うどんゼロ・エミッション」を実現するプロジェクトが成果を上げて始めた。

*電子ブックレット「エネルギー列島2014年版 −四国編−」をダウンロード

2015年版(37)香川:「市民が広げる太陽光発電とバイオマス、産業とエネルギーを地域循環型に」

2013年版(37)香川:「うどん県が挑むバイオマス発電、ようやく広がる太陽光」

2012年版(37)香川:「日本最小の県が30年前に挑んだメガソーラー、技術の進化で再生」

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