固定価格買取制度を変更するために1月中旬に予定していた省令の施行が遅れている。非住宅用の太陽光発電設備の接続を保留している九州など4地域では、2014年度の買取価格の適用を受けることが難しくなってきた。発電事業者は2015年度の低い買取価格で計画を練り直す必要が生じる。
九州電力をはじめ北海道・東北・四国の合計4地域で、非住宅用の太陽光発電設備の接続が1月下旬の現在も保留されている。この問題を解決するために政府は固定価格買取制度に新ルールを設けることを決めて、1月中旬をめどに省令を施行する予定だった(図1)。ところが1月20日の時点でも省令は公布されず、その影響で電力会社による接続保留の解除も遅れる見通しだ。
現時点で接続保留の解除に向けて具体的なスケジュールを公表しているのは九州電力だけである。当初の予定では1月中旬に事業者向けの説明会を開催した後に、2月から接続の検討を再開する段取りになっていた(図2)。このスケジュールであれば、事業者は電力会社からの回答を受けて年度内の3月末までに接続を申し込むことも可能だ。
九州電力は省令の公布から1週間後をめどに、事業者向けの説明会を開催する予定である。現状では1月中の開催は難しくなり、2月にずれ込む可能性が大きい。その結果、事業者が九州電力に発電設備の接続を申し込む時期も遅れることになる。
現行の固定価格買取制度では、事業者が国から発電設備の認定を受けた時期か、電力会社に接続を申し込んだ時期のどちらか遅いほうで買取価格が決まる(図3)。発電事業者は2月以降に電力会社の回答を受けてから接続の申込手続きを急いで進めて、年度内の3月末までに受理してもらう必要がある。間に合わない場合は2015年度の買取価格が適用されてしまう。
すでに2015年度の買取価格の検討が始まっているが、非住宅用の太陽光発電は2014年度の1kWhあたり32円(税抜き)から26円程度まで下がる見込みだ。事業者にとっては20年間の売電収入が2割近くも減少するため、計画の抜本的な見直しを余儀なくされる。再生可能エネルギーの拡大に向けて政府の迅速な対応が求められる局面である。
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