福島・小名浜に18MWメガソーラーが完成、沿岸地域で5200世帯分の電力自然エネルギー

再生可能エネルギーによる新しい産業の振興を目指す福島県いわき市に、2カ所を合わせて18.4MWのメガソーラーが完成した。三菱グループが小名浜港の周辺で建設を進めてきた「小名浜太陽光プロジェクト」で、太平洋沿岸の日射量を生かしてエネルギーの地産地消を推進する。

» 2015年01月29日 09時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 「小名浜太陽光プロジェクト」で建設する2つのメガソーラーのうち、2番目の発電設備が1月27日に完成した。すでに1番目のメガソーラーは2014年8月に運転を開始している。2カ所を合わせて発電能力が18.4MW(メガワット)に達する太陽光プロジェクトの運営体制が整った(図1)。

図1 「小名浜太陽光プロジェクト」のメガソーラー。「小名浜・泉ソーラー第一/第二発電所」(上、6.2MW)、「小名浜ソーラー発電所」(下、12.2MW)。出典:三菱電機

 年間の発電量は約1900万kWhに達する見込みで、一般家庭で5200世帯分の電力使用量に相当する。いわき市の総世帯数(約13万世帯)の約4%をカバーできる規模になる。発電した電力は固定価格買取制度を通じて全量を東北電力に売電する予定だ。

図2 いわき市の位置。出典:いわき市行政経営部

 いわき市は福島県の東南端に位置して、福島第一/第二原子力発電所から至近距離にある(図2)。

 メガソーラーを建設した小名浜港の周辺地域を含めて、市内の広い範囲が地震と津波による甚大な被害を受ける一方、放射能汚染のリスクにもさらされた。安全性の高い電力の供給体制を構築することが極めて重要な課題だ。

 いわき市は震災からの復興計画の中で、再生可能エネルギーを中核にした産業振興プロジェクトを掲げて、太陽光やバイオマスなどの導入を推進している(図3)。小名浜太陽光プロジェクトには県と市が協力して、2020年に向けた「新生ふくしま」の取り組みの1つにも挙げている。

図3 再生可能エネルギーを中核にした産業振興プロジェクトの全体イメージ。出典:いわき市行政経営部

 小名浜太陽光プロジェクトは三菱商事を中心に三菱グループが実施する。メガソーラーを建設した2カ所のうち、1つは三菱化学が出資する日本化成の工場の敷地に、もう1つは三菱商事と東京電力の合弁会社である小名浜石油の敷地内にある。

 2カ所の太陽光発電設備は三菱電機が建設を請け負った。発電効率が15.8%の単結晶シリコンの太陽電池モジュールを採用して、合計で約7万枚を設置した。さらに稼働後も1日24時間体制の遠隔監視サービスを20年間にわたって提供する。東京都内にある遠隔監視センターで、気象条件から算出した予想発電量と実際の発電量を比較して異常の発生個所を特定することができる。

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