電力会社を経由しないでデータ収集、スマートメーターと直結する新サービス電力供給サービス

家庭に設置したスマートメーターから直接データを収集して、自動検針から遠隔監視まで可能な新電力向けのサービスが始まる。ネットワークサービスを提供するインターネットイニシアティブが6月から実証実験を開始して、2016年4月の小売全面自由化までに商用サービスに入る予定だ。

» 2015年02月23日 13時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 スマートメーターのデータは3通りの方法で電力会社や家庭、一般の事業者にも提供できる仕組みになっている(図1)。新電力などは電力会社を経由する「Cルート」でデータを取得する方法があるが、入手できるまでに60分程度かかる。この方法とは別に、家庭向けの「Bルート」のデータを利用できるサービスが始まろうとしている。

図1 スマートメーターの通信ネットワーク。出典:資源エネルギー庁

 インターネットイニシアティブ(IIJ)が開発した「PMSサービスプラットフォーム」で、家庭内に専用のアダプタを設置してスマートメーターのデータを無線通信で取得する(図2)。収集したデータはIIJのセンターに蓄積して、新電力などの小売事業者が自動検針や遠隔監視に利用することができる。Cルートに比べてデータを入手できるまでの時間が短く、需給状況を迅速に把握することが可能になる。

図2 「PMSサービスプラットフォーム」の構成。出典:インターネットイニシアティブ

 家庭内に設置するアダプタの「SA-W1」はスマートメーターに標準で実装されている920MHz帯の無線通信機能でデータを取得する仕組みだ。取得したデータはインターネット経由でIIJのセンターに送信して、「PMS(パワーマネジメントシステム)」に蓄積する。小売事業者はPMSのデータを使って料金の計算や請求が可能なほか、スマートメーターの動作状況を監視することもできる。

 IIJは電力の小売事業者を対象にした実証実験を6月上旬に開始する予定で、SA-W1の実機を含めて無償でサービスを提供する。小売事業者のシステムと連携するためのインタフェースも用意する。ただし通信回線は小売事業者の負担になる。実証実験で効果を検証してから、2016年4月の小売全面自由化までに商用サービスへ移行する予定だ。

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