太陽光+蓄電池+コージェネで「防災未来工場」、250人分の電力を7日間スマートファクトリ

積水ハウスは宮城県で「防災未来工場化計画」を進めている。工場の周囲に太陽光パネルを設置したほか、大容量の蓄電池とガスコージェネレーションを導入することで災害時にも電力を供給して地域の避難所の役割を果たす。平常時のピークカットで契約電力を700kW引き下げる効果もある。

» 2015年02月25日 13時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 積水ハウスの「東北工場」は宮城県の内陸部にある色麻町(しかまちょう)で1997年から生産活動を続けてきた。住宅用の部材などを製造する工場で、年間に約480万kWhの電力を使っている。この東北工場で2014年から「防災未来工場化計画」が始まった。

 工場の敷地の南側いっぱいに太陽光パネルを設置して、最大720kWの電力を供給することができる(図1)。さらに災害に強い電力供給体制を構築するために、大容量の蓄電池とガスコージェネレーションシステムを新たに導入した。

図1 「東北工場」の全景(上)、建物の周囲に設置した太陽光パネル(下)。出典:積水ハウス

 蓄電池は容量が2000kWhで、出力は500kWある(図2)。ガスコージェネの出力は225kWあって、電力と温水を同時に作ることができる。太陽光発電と組み合わせると、3種類の電源で最大1445kWの電力を供給できる体制になった。電力会社から購入する電力をピーク時に700kWも引き下げることができる。

図2 大容量蓄電池(左)、コージェネレーション用ガスエンジン(右)。出典:日本GE

 災害が発生して停電になった場合でも、3種類の電源を使って地域の防災拠点の役割を果たす。積水ハウスは色麻町と防災協定を結んで、災害時には町の対策本部を工場内に設置できるようにした(図3)。工場は避難所にもなり、250人分の電力を7日間にわたって供給することが可能だ。

図3 「スマートエネルギーシステム」の構成要素と機能(画像をクリックすると拡大)。出典:積水ハウス

 3種類の電源はFEMS(工場向けエネルギー管理システム)で制御して電力の需給状況を最適な状態に保つ。このほかにPHV(プラグインハイブリッド車)やLP(液化石油)ガスタンクを備えて、電力と熱の供給手段を多重化した。積水ハウスは東北工場を皮切りに、全国にある工場と物流拠点を「防災未来工場」に進化させていく計画だ。

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