電球形蛍光ランプとお別れか、LED電球で置き換えLED照明

東芝ライテックが35年間、販売を続けてきた電球形蛍光ランプ。LED電球の新製品6機種を投入することで、主要製品を全て代替できるようになったため、2015年3月末に生産を完了する。最後まで電球形蛍光ランプが残った理由とは。

» 2015年03月06日 09時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 東芝ライテックは2015年3月2日、LED電球6機種を同3月6日から順次発売すると発表した。同社は電球形蛍光ランプ「ネオボールZ」を販売している。今回の6機種で製品ラインアップがそろったこと、LED電球の方が環境性能の高いことを理由に、電球形蛍光ランプの生産を2015年3月末で完了する。同社は1980年にネオボールシリーズの販売を開始しており、35年で製品の歴史が幕を閉じることになった*1)

 同社は白熱電球と形状が似た電球形蛍光ランプ「A形」、細い形状を実現するために蛍光管を露出させた「D形」、ボール電球と同じ外形の「G形」、ランプの後部に曲面のミラーを形成し、照射方向を明るく照らす「R形」を販売しており、そのうち、A形、D形、G形をLED電球に置き換える(図1)。R形は廃番となる。

*1) 同社は販売開始後120年に当たる2013年3月17日に一般白熱電球の製造を中止している。ただし、光色に独特の特色があるものなど一部の電球の製造を継続した。「現在でも製造中の機種が残っている」(東芝ライテック)。電球形蛍光ランプは白熱電球より優れた性質を持っているものの、製品の寿命は短かったことになる。

図1 電球形蛍光ランプを置き換えるLED電球(クリックで拡大) 出典:東芝ライテック

 「ネオボールZを代替するLED電球には優位性がある。省エネ性能が高く、寿命(4万時間)はネオボールZの種類に依存するものの3〜6倍と長い。点灯時の立ち上がり特性がよく、特に冬季は100%の点灯までに要する時間の差が大きい」(東芝ライテック)。

 なお、LED電球が優位にあるとは必ずしもいえない部分も残っているという。まず、製品の価格が高いことだ。次に、光の広がり方(配光特性)がいくぶん電球形蛍光灯とは異なること。最後にランプ自体の重量が多少重いことだ。ランプを多数取り付ける灯具では課題となる。

最後まで残った理由とは

 2015年3月に発売を開始する2つの製品は「ミニクリプトン形 広配光タイプ40W形相当(ミニクリプトン形)」の2機種と、「T形 全方向タイプ(T形)」の4機種。いずれも配光特性に注力しており、後ほど紹介する製品パッケージでも「コンパクトで光も広がる」「電球のように光が広がる」とあるように、広配光であることを強調している。

 ミニクリプトン形は、E17口金を利用するランプ。直径35mm、長さ67mmという電球の寸法を変えずに約180度、光が広がるようにするため、ドーム形状の拡散カバーを利用した。広配光LED電球でこれまで利用してきたマルチ拡散カバーの形状を工夫することで実現したという。

 もう1つの特徴は誤挿入防止ソケットに対応したこと。誤挿入防止ソケットとは、ランプ横差しダウンライトなどにおいて、適合しないランプを排除するための工夫。口金側の首が一部飛び出しており、ランプの根元(ランプネック)の直径がある一定の値以下でないと差し込むことができない。電球形蛍光ランプと同じ寸法を維持することで対応した。これにより断熱材施工器具や密閉型器具でも利用できる。

 図2にミニクリプトン形の本体とパッケージを示す。全光束は440lm(ルーメン)。電球色(消費電力5.2W)と昼白色(同4.6W)がある。価格はいずれも4200円(税別)。

図2 ミニクリプトン形 広配光タイプ40W形相当(クリックで拡大) 出典:東芝ライテック

 T形の特徴は2つある。まず、生産を中止する蛍光ランプD形の寸法をほぼ維持し、配光角も300度を実現したことだ。次に器具に取り付けた場合の器具光束と器具配光が同等であることだ。

 図3はT形の本体とパッケージ。左側の背の高い製品(直径50mm、長さ133mm)はE26口金用で価格は8000円(税別)。全光束は1700lm。消費電力は10.2W(電球色)、9.6W(昼白色)。右側(直径40mm、長さ109mm)はE17口金用で6200円(税別)。全光束は700lm、消費電力は6.4W(電球色)と5.7W(昼白色)だ。

図3 T形 全方向タイプ(クリックで拡大) 出典:東芝ライテック

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