太陽電池の「コスト半減」、ウエハーを溶けたシリコンから直接製造蓄電・発電機器(2/2 ページ)

» 2015年03月17日 11時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]
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どの程度の性能なのか

 1366 Technologiesは2009年3月に小面積セルを試作後、2010年6月には多結晶シリコン太陽電池で標準的な156mm角のセルの試作に成功。その後は156mm角のセルの変換効率を着実に高めている。2010年8月時点で14%だった変換効率は、2014年7月に18%に到達。これは主要メーカーが製造する多結晶太陽電池セルとほとんど変わらない水準に達している*3)。2014年10月には生産能力が年間5MWに達した。

 同社の現時点の生産技術水準は明らかではないものの、参考になる情報はある。2011年4月から2013年5月までエネルギー省高等研究計画局の補助金を受けた事業「1366 Direct Wafer: Demolishing the Cost Barrier for Silicon Photovoltaics」の報告書「Final Scientific Report for DOE/EERE」(DE-EE0004738、2014年2月)だ。

 報告書によれば、事業の目標は、ウエハーを1W当たり最大0.1米ドルで製造すること。当初、ウエハー1枚当たりの「成長」時間は15秒未満だったものの、炉の改良により、20枚当たりのタクトタイムを60秒まで短縮したとある。さまざまなサイズの原料シリコン片を投入しても炉の温度を一定に保つことができている他、太陽電池セルに必要な特性を少ないばらつきで実現できたという。事業完了後、2014年12月には第3世代の炉が完成している。

*3) 研究開発における多結晶シリコン太陽電池セルの世界記録は、2004年に報告された20.4%であり、その後、記録が更新されていない。

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