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» 2015年03月18日 09時00分 UPDATE

蓄電・発電機器:洋上風力発電にフランス製の浮体構造、日本近海に広がる水深100メートルまで対応

全国各地に洋上風力発電の開発プロジェクトが広がり、建設に向けた動きが活発になってきた。日立造船はフランスのベンチャー企業が開発した浮体式の基盤構造を日本国内で展開する計画だ。コンクリートで造った四角いドーナツ型の基盤構造で、製造・設置コストの低さが特徴である。

[石田雅也,スマートジャパン]

 日立造船が提携したフランスのベンチャー企業はIDEOL(イデオル)社である。地中海に面した港で有名なマルセイユの近郊で2010年に創業した。2012年に「Damping Pool」と呼ぶ洋上風力発電用の浮体式基盤構造を開発して、現在は最初の風力発電設備の建設プロジェクトを地中海で進めている(図1)。

hitachizosen1_sj.jpg 図1 IDEOL社の浮体式基盤構造による風力発電設備。出典:日立造船

 Damping Poolは従来の洋上風力発電に使われてきた浮体式基盤構造よりも小型で、製造コストと設置コストが低いことを特徴にしている。ほぼ正方形の構造物の中央部分が空洞になっていて、海上の揺れを吸収することができる(図2)。

hitachizosen2_sj.jpg 図2 浮体式基盤構造「Damping Pool」。出典:IDEOL

 風車を建てる位置の反対側と両脇の合計3カ所から、海底につなぐためのアンカーチェーンを吊り下げる構造になっている。IDEOL社が地中海で建設中の風力発電設備では2MW(メガワット)の大型風車を搭載する予定である。

 設置できる海域は水深が100メートル程度までに限られる。一般に水深が50メートルまでの場合には基盤構造を海底に固定する「着床式」が可能だが、50メートルを超えると「浮体式」の基盤構造が必要になる(図3)。

hitachizosen3_sj.jpg 図3 洋上風力発電設備の代表的な設置方法。浮体式(左)、着床式(右)。出典:国土交通省

 代表的な浮体式の基盤構造は3種類あるが、IDEOL社の基盤構造は浮体部分が平面状の新しい方式である。素材が鉄筋コンクリートで簡単に製造できることから、発電所の設置現場の近くで製造することが可能だ。製造から設置までのコストは水深35メートル以上の着床式の場合と同等になる。

 日本国内では2014年度から固定価格買取制度に洋上風力の買取価格が設定されたことで、全国の近海で開発プロジェクトが広がってきた(図4)。大半は着床式だが、今後は設置海域が広い浮体式の増加が見込まれている。

yojo_sj.jpg 図4 進行中の洋上風力発電プロジェクト(2015年1月時点。画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 日立造船は新潟県の村上市の沖合で、日本最大の洋上風力発電プロジェクトを幹事会社として推進中である。水深が35メートル以下の遠浅の海域が対象になるため、着床式で建設する計画だ。今後はIDEOL社との提携により、浮体式の洋上風力発電を日本近海で展開しやすくなる。

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