データセンタが環境に役立つ、邪魔な排熱を都市空調に利用スマートファクトリ(1/2 ページ)

スウェーデンに建設中の「EcoDataCenter」は、データセンターとして優れた仕様や、高いPUE、再生可能エネルギーの利用といった従来の設備とは違う特徴を備えている。効率良く排熱を捨てるのではなく、地域冷暖房システムと接続することで、トータルの二酸化炭素排出量を削減できるという。

» 2015年03月18日 07時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]
図1 スウェーデンの首都ストックホルム(青)とEcoDataCenter(赤)の位置

 エネルギーの利用効率が極めて高いデータセンターが登場する。スウェーデン中部のファールン市に建設中の「EcoDataCenter」だ(図1、図2)。同国の2社、エネルギー企業のFalu Energi&Vattenとベンチャー企業のEcoDC ABが協力し、フランスSchneider Electricがエネルギー効率化ソリューションと製品を提供する。

 EcoDataCenterはデータセンターとして高い品質を誇る。米国のデータセンターの業界団体であるUptime Instituteが提唱するTierレベルのうち、最高基準であるTier IVを満たすことを目的としている。

 可能な限りセキュリティ基準を高め、稼働時間100%を保証する水準も維持し、世界で最も安全な13カ所のデータセンターの1つになるという。

図2 EcoDataCenterの完成予想イメージ 出典:シュナイダーエレクトリック

 従来のデータセンターは冷却システムの性能が高いこと、すなわちPUE(Power Usage Effectiveness)*1)の値を1に近づけようと競ってきた。さらに先進的なデータセンターでは、使用する電力に占める再生可能エネルギーの比率を100%に近づけている。EcoDataCenterはさらに先をいくことから、「気候変動を抑制する(Negative CO2 Emission)、世界初のデータセンター」だと主張する。

*1) PUEの値は、データセンターの設備全体の消費電力を、コンピュータやネットワーク機器が消費する電力量で割った値。冷却効果が高いほど、値が1に近づく。

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