風力発電の「戦略的適地」が国内4カ所に、最大500MW級を洋上に展開自然エネルギー(2/2 ページ)

» 2015年03月19日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]
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各地域で2020年代の初めに運転開始へ

図4 椛島沖の洋上風力発電設備。出典:戸田建設ほか

 長崎県の五島市では、さらに大規模な洋上風力のプロジェクトを実施する。2013年度から浮体式の風力発電設備の実証実験が椛島(かばしま)の沖合で始まっている。直径80メートルの大型風車を円筒状の浮体構造の上に設置したもので、発電能力は2MWある(図4)。

 五島市のプロジェクトを推進する戸田建設の計画では、同様の2MWの発電設備を11基に増やした後に、5MWの発電設備100基を展開する構想がある。合計すると500MWを超えて、世界でも最大級の洋上風力発電所になる。

 設置する海域は五島列島の中で最も大きい福江島(ふくえじま)の東岸から黄島(おうしま)の沖合を予定している(図5)。

図5 五島市の主な島と人口(2014年5月時点)。出典:五島市

 同様に福岡県の北九州市でも500MWを超える規模の洋上風力発電を構想中だ。日本海に面した響灘地区をエネルギーの一大供給拠点に発展させる計画で、陸上に火力発電所を建設するのと合わせて、沖合では大規模な風力発電を実施する(図6)。

図6 北九州市の「地域エネルギー拠点化推進事業」の対象地域。出典:北九州市

 すでに響灘の沖合では、NEDOとJ-Power(電源開発)が2013年に2MWの風力発電設備の運転を開始している。水深14メートルの浅い海底に基礎部分を固定した着床式である(図7)。周辺の海域は遠浅なことから、100基を超える大型の風車を着床式で設置できる見込みだ。

図7 響灘沖の洋上風力発電設備。出典:NEDO

 鳥取県の陸上風力を含めて、4地域の戦略プロジェクトは2020年代の初めまでに運転開始を目指す。環境省は補助金の交付に加えて、環境影響評価の手続きを軽減して運転開始までの期間を短縮する方針だ。2016年度までの2年間で適地選定と事業推進のモデルを確立して、2020年代から全国各地で風力発電を拡大させる狙いである。

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